『私たちはどうかしている』謎が謎を呼ぶ中盤戦 横浜流星の本当の父親は誰?
“被害者の息子”と“加害者の娘”、幼少期を共に過ごした幼なじみ、そして結婚式を控えた夫婦……そんな椿(横浜流星)と七桜(浜辺美波)の関係性が完全に覆った『私たちはどうかしている』(日本テレビ系)第5話。
七桜は光月庵の先代当主・樹(鈴木伸之)が自分の実の父親であることを知ってしまう。と同時に、樹と椿に父子関係がないことも発覚。これまで、どこか不思議に感じていた違和感の正体が解き明かされる“答え合わせ”のような回でもあり、謎が謎を呼ぶ回でもあった。
まず、大旦那の宗寿郎(佐野史郎)が兼ねてからうなされながら「あの子に会いたい」と熱望していた「あの子」とはやはり「さくら」のことだったのだ。
そして、椿がさくらのことを「目の前に現れたら消えてもらうしかない」と異様なまでに目の敵にしていたのは、何も自分の父親を殺した憎き相手の娘だからというだけでなかった。父親との思い出の詰まった光月庵を、自分の全てを奪い去ってしまいかねない相手だからだった。自分が幼い頃からどれだけ頑張って努力しても見向きもしてもらえなかった大旦那からの称賛をいとも簡単に手に入れてしまうさくらは、椿にとって自身の存在を根底から脅かしかねない存在でしかなかった。光月庵の跡継ぎには必須条件となる「血縁関係」という揺るがぬものを手にしているのがさくらなのだ。
と、なるとここでもう一つの疑問が生じる。椿の本当の父親は一体誰なのか。前話、百貨店の七夕フェアで多喜川(山崎育三郎)と居合わせた際に珍しくバツが悪そうな顔を見せた女将・今日子(観月ありさ)。第5話でも、光月庵に和菓子を買いに来た多喜川から「良かったら家に来て父に手を合わせて下さいよ。きっと父も喜びます」と声をかけられると、また気まずそうな、なんとも忌々しそうな顔を覗かせていた。
思えば、これまでの多喜川もあまりに間が良すぎやしなかっただろうか。そもそも七桜の復讐計画も、多喜川に手渡された一通の手紙から始まったのだ。しかも、前に働いていた和菓子屋を辞めさせられ行く宛もなく雨の中を歩いていた彼女に突然傘を差し出して、手紙を差し出した。
自分と椿それぞれの出自の真相を知ってしまった七桜が、これ以上椿から大事なものを奪うまいと、彼を傷つけまいと、何も言わずに光月庵を立ち去ることを決意し、それを多喜川に報告する。その際、多喜川の七桜への説得ぶりもなんだか少し慌てているように見えなくもなかった。結局、この多喜川との話し合いで七桜は光月庵に戻ることになった。意図していようがいまいが、彼の言動が七桜の行動の決定に大きな影響を与えているのは間違いない。