このエピソードには長年敵対していた尾張と美濃が和議を結ぶという大きな節目の他に、光秀に密かに恋心を抱く帰蝶の女心も描かれた意味のあるシーンとなる。帰蝶は度々光秀に自身の心の片鱗を見せるが、光秀は気が付くそぶりを見せない。帰蝶が信長の元に嫁いだあとも、光秀と帰蝶の“幼なじみ”という信頼関係は続く。今回の総集編では、彼らの関係がどう変化していくかの重要なターニングポイントになる場面が丁寧に拾い集められていた。

　第1回目の総集編は、闘うことの意味や自分の国を大切にするという価値観、麒麟が訪れる国の話など、どれもこの先の物語にとって意味のあるものとなった。これらのエピソードの上に積み上げられる新たな物語が間もなく始まる。駒の口から語られた麒麟の物語は、本作のタイトル「麒麟がくる」の意味を説くものであり、その話を聞いた光秀が口にする「どこにも麒麟はいない。何かを変えなければ、誰かが、美濃にも京にも、麒麟は来ない」という言葉は、光秀にとって大きな決心に繋がる言葉であった。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

■放送情報
「『麒麟がくる』まであと3週！　これまでの名場面すべて見せます」
総集編（1）旅立ち
8月9日（日）
20:00～20:45／NHK総合・BS4K　※土曜の再放送あり
09:00〜09:45／BS4K
18:00〜18:45／BSプレミアム

『麒麟がくる』まであと2週！　これまでの名場面すべて見せます
総集編（2）動乱
8月16日（日）
20:00～20:45／NHK総合・BS4K　※土曜の再放送あり
09:00〜09:45／BS4K
18:00〜18:45／BSプレミアム

『麒麟がくる』まであと1週！　これまでの名場面すべて見せます
総集編（3）誇り高く
8月23日（日）
20:00～20:45／NHK総合・BS4K　※土曜の再放送あり
09:00〜09:45／BS4K
18:00〜18:45／BSプレミアム
写真提供＝NHK