『プラド美術館』で、今こそ“異国情緒”を味わう 芸術のアーカイブの重要性に気づきを与える一作に

 また、本作ではナレーションにも注目だ。ナレーションを担当するのはジェレミー・アイアンズ。『運命の逆転』でアカデミー賞男優賞を受賞し、現在も、『ハイ・ライズ』『レッド・スパロー』など多くの作品の出演で知られる。『ライオン・キング』のスカー役の声を担当しただけあって、そのエレガンスさと落ち着き漂うナレーションの色気に思わず惹かれてしまうこと間違いなしだ。ちなみに吹替版では、今井翼がナレーション。こちらもアイアンズに負けず劣らずのスムーズなナレーションを披露しており、見事な抜擢だったと言えよう。

 あらゆるものに簡単にアクセスできるようになった現代だからこそ、自ら出向き、美術を鑑賞するということの価値はより増している。本作をスクリーンで観ることで、逆説的に実際に「観る」ということの価値を実感することができるのではないだろうか。

■公開情報
『プラド美術館 驚異のコレクション』
ヒューマントラストシネマ有楽町、 Bunkamura ル・シネマ、新宿シネマカリテほか全国公開中
監督・脚本:ヴァレリア・パリシ
脚本:サビーナ・フェディーリ
ナビゲーター:ジェレミー・アイアンズ
配給:東京テアトル/シンカ
2019 年/イタリア・スペイン/英語・スペイン語/92分/カラー /原題:THE PRADO MUSEUM. A COLLECTION OF WONDERS
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