『エール』2週目で味わう、関内三姉妹の関係性 松井玲奈、二階堂ふみ、森七菜の絶妙なバランス
だが、単純な三すくみではないのも、この三姉妹を見ていて飽きさせないポイント。幼少期から大人へと成長し、より強く表に出てきたのが、それぞれの夢に向かう姉、妹たちを気遣う思いだ。ドラマの性質上、物語の中心は音となるが、音楽学校に通学する音の妊娠を聞き、すぐさま顔を見せたのは吟であったし、梅は文通の相手である裕一と2人きりで話すことで「しっかりしとるね。安心した」と姉たちの前では見せない表情を浮かべていた。
そもそも、少し見方を変えれば、梅は音に詩を頼まれたことで、初めて作品を最後まで書ききることができ、称賛の拍手を送られることの喜びを味わえた。音は吟に見合いに誘われたことで裕一の専属先となるコロンブスレコードの伝手を見つけるきっかけとなった。ピンチをチャンスに。そんな逞しく、進歩的な生き方のバックボーンには光子と亡き安隆の影が見えてくる。
いまだ本放送の再開時期は未定であるが、第14週以降の予告動画では、梅がメインに登場している。「これからはまっすぐに生きてみる」。あの世から帰ってきた安隆にそう誓っていた梅が選ぶ生き方とは。
■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter
■放送情報
連続テレビ小説『エール』
2020年3月30日(月)〜9月26日(土)予定
※6月29日より第1回から再放送中
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:窪田正孝、二階堂ふみ、薬師丸ひろ子、菊池桃子、光石研、中村蒼、山崎育三郎、森山直太朗、佐久本宝、松井玲奈、森七菜、柴咲コウ、風間杜夫、唐沢寿明ほか
制作統括:土屋勝裕
プロデューサー:小西千栄子、小林泰子、土居美希
演出:吉田照幸、松園武大ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/yell/