『探偵・由利麟太郎』でも存在感 映画やドラマ、そして寄付まで大活躍する志尊淳の軽やかな個性
現在、5週連続放送中の『探偵・由利麟太郎』(カンテレ・フジテレビ系・火曜21時~)で、吉川晃司演じる凄腕の探偵・由利麟太郎の助手兼ミステリー作家志望の青年・三津木俊助を好演している志尊淳。クールな由利の対極にあるような人懐こく愛嬌のある役どころで、おどろおどろしい怪事件が続発するドラマにおいても、彼の登場シーンにはどこか爽やかな風が吹いているようだ。本作で初共演した吉川をして「頭の回転も速いし、いい意味で凄く頑固な所があって生きていくにあたってしっかりとした物差しを持っている」と評されたほか、由利と大学時代の同窓という間柄の刑事・等々力を演じる田辺誠一からは「かわいくクレバーな志尊くん」と愛されぶりを伺わせるコメントも飛び出す。ベテランの役者陣をも唸らせる存在感は彼の大きな魅力のひとつと言っていいだろう。
2011年にミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンの向日岳人役で俳優デビューした志尊淳。2014年に若手俳優の登竜門でもある戦隊シリーズの主演(『烈車戦隊トッキュウジャー』のライト/トッキュウ1号役)を務め、一躍注目俳優の仲間入りを果たした。ドラマ、映画、舞台と八面六臂の活躍を見せながら、バラエティなどにも積極的に出演。その際に見せるトーク力の高さにも吉川や田辺が言うところの「頭の回転の速さ」「クレバー」な部分が垣間見える。
演じる役柄もバラエティに富み、『女子的生活』(NHK総合)ではトランスジェンダーの役を演じ、文化庁芸術祭賞テレビ・ドラマ部門で放送個人賞を受賞するほどの高評価を得たほか、NHK連続テレビ小説『半分、青い。』でもゲイの人気漫画家役を好演。『きみはペット』(フジテレビ)『Heaven?〜ご苦楽レストラン〜』(TBS系)のビジュアルを活かした憎めない年下男子像も忘れがたいし、映画『走れ!T校バスケット部』など清々しいまでの青春ドラマもにもピタリとハマる。さらに『潤一』(カンテレ)で見せたミステリアスで官能的な演技も新たな一面を印象付けるのに申し分のないものだった。それでいて不思議なのは、どんな役を演じたとしても気負いや衒いのないこと。いつでも特有の軽やかな空気をまとい、作品の中に溶け込んでいる。これも志尊淳という俳優の持つ個性だ。
昨今のコロナ禍の最中にはTikTok上で展開する新感覚のドラマ『リモートな恋』に出演。水原希子を彼女役に迎え、外出自粛で会うこともままならないカップルの会話ややり取りを1話90秒というわずかな時間の中に凝縮して紡いだ。それぞれが私物の衣装を身につけ、自宅で収録したという映像はさながらホンモノの恋人同士の日常を覗き見ているかのよう。いつになく素顔の志尊の姿にSNSでは「癒される」「キュン死にしそう」などのコメントが相次いだ。また、自ら「#志尊の自粛部屋」プロジェクトを立ち上げ、インスタライブなどを中心とした活動を展開。オリジナルTシャツの販売や、ミュージシャンである叔父の宮崎歩氏と共同制作した楽曲「きぼうのあしおと」の配信売り上げから1000万円を医療従事者に寄付し、大きな話題となった。誰もが経験したことのない状況下でも、“自分にできること”に向き合い続け、しかもその根幹にはエンターテインメントを忘れない。こんなところにも彼に備わった軽やかな性分が見えてくる。