志尊淳、『探偵・由利麟太郎』で果たす役割 吉川晃司を視聴者に近づける橋渡し役に

志尊淳、『探偵・由利麟太郎』で果たす役割

 彼のいかにも「化粧映えしそうな顔面」は、同じくコミック原作ものでも少女漫画だけでなく、SFチックなものから学園モノまで幅広くハマる。映画『帝一の國』では主人公の右腕的存在である光明役を演じ、ビジュアル系に近しい見た目も全く違和感がなかった。つまり、現実離れした「振り切った役どころ」にも上手く溶け込めてしまえる。

 もともと華奢で線も細めな彼が、『女子的生活』で魅せたイマドキ女子の姿は、メイク、ヘアスタイル、ファッションから、立ち居振る舞い、嗜好性に至るまでを完全に取り込んで自分のものにしていた。

 そんな志尊が本作で挑んだ役どころは、これまでとは少し似て非なるものかもしれない。強烈なキャラクターを持つ由利という主人公の「静」「陰」の部分を際立たせるために配置されたかのような、「動」で「陽」な一面が強調された、ある種、印象通りの青年。これまでの役どころのように、「一見無邪気に見えても実は心に深い傷を負っている」などといった逆説的な要素を持ち合わせない、ギャップのない存在だ。ただ、本作では昭和の物語設定を現代に持ち込んだ異色さや、常人離れした由利という存在を我々視聴者に近づけてくれるような、橋渡しの役割を見事果たしているように見受けられる。「過去」と「現在」、「天才」と「常人」、「日常」と事件が起きるような「非日常」、そんな二項対立を内包して魅せてくれている志尊淳がいてこそ、この物語は成立していると言える。次回はまたそんな2人のタッグ姿を拝めるのが楽しみだ。

■楳田 佳香
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで劇場鑑賞映画本数は年間約100本。Twitter

■放送情報
『探偵・由利麟太郎』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週火曜21:00~21:54放送
原作:横溝正史『由利麟太郎シリーズ』(角川文庫刊、柏書房刊)
出演:吉川晃司、志尊淳、木本武宏、どんぐり、田辺誠一
<第3話>「殺しのピンヒール」:村川絵梨、浅利陽介ほか
<第4話・第5話>「マーダー・バタフライ前編・後編」:高岡早紀、大鶴義丹、鈴木一真、吉谷彩子、佐野岳、板尾創路、水沢林太郎ほか
脚本:小林弘利
演出・プロデュース:木村弥寿彦(カンテレ)
プロデューサー:萩原崇(カンテレ)、森井敦(東映京都撮影所)、福島一貴(東映京都撮影所)
メインテーマ・エンディングテーマ:吉川晃司 
メインテーマ:「Brave Arrow」
エンディングテーマ:「焚き火」
発売元:ワーナーミュージック・ジャパン
音楽:ワンミュージック
制作協力:東映京都撮影所
制作著作:カンテレ
(c)カンテレ

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