“アニメーションの祭典”アヌシー映画祭 初オンライン開催となる今年の見どころを紹介

伝説の女ガンマン、カラミティ・ジェーンの子供時代を描く作品に注目

 アヌシーの今年の見どころをかいつまんで紹介する。

 アヌシーは元々、短編のコンペティション部門が映画祭の花形だったが、近年は長編部門の拡大が目立つようになってきた。

 その長編コンペティションには、日本からは村野佑太監督の『ぼくらの7日間戦争』と山崎貴監督の『ルパン三世 THE FIRST』が選出されている。日本でもミニシアターを中心に息の長い上映となった『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』のレミ・シャイエ監督の最新作『Calamity, a Childhood of Martha Jane Cannary(原題)』も選出されている。

 この作品は、伝説の女ガンマン、カラミティ・ジェーンの子供時代を描いた作品だ。幼い弟妹たちを養うために子供の頃から働いていた彼女の艱難辛苦を、2Dの美しいアニメーションで描いている。『ロング・ウェイ・ノース』でロシアの少女の血湧き肉躍る大冒険を描いたシャイエ監督が、伝説の女ガンマンの少女時代をどのように描いているのか、気になるところだ。その他、ロシアの巨匠アンドレイ・クルザノフスキーの『The Nose or the Conspiracy of Mavericks(原題)』など気になるタイトルが並んでいる。

The Nose or Conspiracy of Mavericks – clip | IFFR 2020

 2019年から設立された、革新的な映像表現に取り組む作品を集めたコントラシャン部門には、日本からは岩井澤健治監督の『音楽』、インドネシアとの合作となる『True North』が選出。昨年日本でもスマッシュヒットを記録した中国アニメーション映画『羅小黒戦記』も名を連ねている。

 韓国からは、70年代を舞台にした青春アニメーション映画『Green Days~大切な日の夢~』で知られるアン・ジェフン監督の最新作『The Shaman Sorceress(原題)』も選ばれている。

『The Shaman Sorceress』

 そのほか、日本勢では湯浅政明監督の『日本沈没2020』がテレビ部門に、Work in Progressで同じく湯浅監督の長編映画『犬王』、学生部門に金子勲矩監督の『The Balloon Catcher』(2019年度多摩美術大学大学院修了制作)も選ばれている。

The Balloon Catcher(金子 勲矩)| The Balloon Catcher(Isaku Kaneko)

 また、日本でも大ヒットを記録した『アナと雪の女王2』のメイキング公開などもあり、ファンには嬉しい企画だ。ニック・パークの人気作『チキン・ラン』のメイキング公開もあり、アニメーション製作を志す人はおおいに勉強になるだろう。

 そして、著名クリエイターの登壇企画であるマスタークラスでは、『ヒックとドラゴン』シリーズのディーン・デュボア監督の登壇も6月18日17時(現地時間)から予定されている。

関連記事