『麒麟がくる』家族の亀裂が浮き彫りに 道三、高政、信長をめぐる関係性

 尾張のうつけと呼ばれた信長(染谷将太)は、帰蝶(川口春奈)の図らいもあり、すっかり道三(本木雅弘)に気に入られた。このことで政治の風向きは大きく変わる。『麒麟がくる』(NHK総合)第14回「聖徳寺の会見」では、織田家と斎藤家の関係の進展が描かれた。

 深芳野(南果歩)の実の息子である高政(伊藤英明)と道三の関係のこじれが、深芳野の自害を招いてしまった。高政は自身が家督を継ぐことが母の願いであることから、道三が高政に家督を継がせる気がなかったからだと詰め寄る。しかし、道三が家督を譲ることを時期尚早としたのは、高政自身が土岐頼芸(尾美としのり)の実の息子であるかもしれないことを自ら道三に告げてしまったことが大きいだろう。高政が出自の真実を突き止め、美濃をより良くしようという気持ちの空回りが、皮肉にも深芳野を失うことに繋がってしまった。

 その一方で、義理の息子となった信長は帰蝶の策略が功を奏し、道三の気持ちをものにする。信長のピュアでまっすぐな様子は、若い頃の自分を思わせると道三に言わしめ、帰蝶のはからい通りに道三は信長に肩入れするようになる。信長をすっかり気に入った道三に、高政が不快な顔をするシーンもあり、泥沼になった家族の亀裂が浮き上がる回となった。

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