『アライブ』最終回はまさに“ハッピーエンド”に 松下奈緒、木村佳乃、清原翔らが歩んでいく道

 薫(木村佳乃)のがんが再発したことがきっかけで、国立がん医療センターへの移籍の話に答えを出せずにいた心(松下奈緒)。そんな中でも薫は、抗がん剤治療をしながら外科医の仕事を続けていくことを望むのだ。3月19日に放送された、フジテレビ系列木曜ドラマ『アライブ がん専門医のカルテ』最終話のテーマは“生きがい”という、どこか抽象的でありながらも欠かすことのできない重要なもの。劇中で獅子雄部長の阿久津(木下ほうか)はそれを「何よりも効く薬」と形容詞、心の義父・京太郎(北大路欣也)は「自分が幸せだって実感させてくれる大切な存在」と表現している。

 そんなふたつの台詞以上に、この“生きがい”とは何かを示すのは、心と薫の関係性を置いて他にはない。これまでのエピソードでは互いに医師として、患者を通じて様々なテーマに向き合ってきた2人だが、この最終回では患者と医師という異なる立場からそれぞれの形で向き合っていく。思い返してみれば、ドラマ前半では仕事上のバディとして、そして心の夫・匠(中村俊介)の死の直後に衝突し、その後友人として絆を深めていった2人ではあるが、終盤に向かうにつれてその距離感はより一層近付いていった。この最終話での2人を見れば、心の存在が薫にとって、薫の存在が心にとっての“生きがい”となっているのだと観て取れるほどだ。

 そういった点でも、今回のエピソードの患者として登場した橘親子(母を演じた三田寛子はなんと30年ぶりのフジテレビドラマとのこと。娘役の佐津川愛美との雰囲気も合っていて、好キャスティングであったと思える)の姿が、どことなく心と薫の関係性とシンクロする役割を果たしていたようにも思える。娘の結婚式に出席することを生きがいにしていた母。しかしその結婚が破談となったことを知り、自分の病気のせいで娘の幸せを壊しちゃったんじゃないかとショックを受ける。それはまさに、薫ががんを再発させたことで心が国立がん医療センターへ行くこと断ろうとする流れと合致する。もしかすると2人の関係性は、同僚で友人で、そして姉妹でも恋人でもあり、母娘でもあるのかもしれない。

 クライマックスの場面で、いつもの屋上で深呼吸をする心。第1話の冒頭も、ちょうど同じように深呼吸する心の姿から幕を開けたはずだ。その時は匠が寝たきりの状態で、身近な人が生と死の間にあるというシチュエーションこそ似ていても、その表情はまるで違っていた。そして3年後を描くエピローグシーンでは、夏樹(岡崎紗絵)が心の後を継ぎ、結城(清原翔)は薫のように消化器外科へと進む(もちろん結城は小川紗良演じる佐倉との関係が進展していたことも見逃せない)。全員がそれぞれの道を前向きに歩んでいく、まさにハッピーエンドと呼べる結末は、このドラマが一貫して守り続けてきた“希望”そのものであろう。

関連記事