『恋はつづくよどこまでも』インタビュー
上白石萌音、『恋つづ』で佐藤健と大切にした感覚 「表現者である前に、人として豊かでありたい」
上白石萌音が佐藤健と繰り広げる胸キュンラブストーリー、火曜ドラマ『恋はつづくよどこまでも』(TBS系)も、3月17日についに最終話を迎える。第6話から4週連続で右肩上がりに視聴率を伸ばし、前回の第9話では平均視聴率14.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録する人気ぶりだ。
これほど多くの視聴者の心を掴んだ大きな要因は、やはり上白石と佐藤の演技力の高さ。特に上白石が演じた主人公・佐倉七瀬は、ともすればあざとく見えてしまうドジっ子キャラ。それを佐藤扮するドSドクターの天堂から、そして視聴者からも愛されるヒロインへと昇華させることができたのはなぜか。そこには、上白石のある挑戦があった。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】
「思ったことを口にする大切さを七瀬に教わりました」
――今日はよろしくお願いします。
上白石萌音(以下、上白石):こちらこそ、ご足労ありがとうございます。
――ご丁寧にありがとうございます! 少し古風な言い回しは、まるで七瀬のようですね。
上白石:うふふ。そうですね。七瀬も私も昭和な感じがあると、よく言われます。
――ほかにも佐倉七瀬というキャラクターを演じていて、ご自身との共通点を感じましたか?
上白石:七瀬には人のことを放っておけないところがあるじゃないですか。私は七瀬ほど行動派ではないけれど、人の痛みや悲しみには寄り添える人ではありたいと思いますし、改めて七瀬にそれを教えてもらった感じはありますね。やさしくありたいなと。あとは思ったことをすぐ口に出しちゃうところでしょうか。吉川愛ちゃん、堀田真由ちゃん、渡邊圭祐くんの同期組がみんなすごく大好きなので、会うと毎日ハグしちゃいます。「今日もかわいいよー!」って。
――吉川愛さんは「“かわいい”と言われるといつも困っちゃう」っておっしゃっていましたよ(笑)。
上白石:もう最近言いすぎちゃったのか、スルーされ始めて(笑)。「(そっけなく)ありがと」って。それでも懲りずに「かわいい!」って言っちゃうのは、七瀬と似てるかもですね! 『恋つづ』の現場は、本当に楽しくてみんな仲がいいです。誰とエレベーターに閉じ込められても、楽しく救助を待てる自信があります! あ、でも私は「かわいい」とは言えるけど、好きな人に「好き」ってなかなか言えないタイプなので。やっぱり、すごいと思います、七瀬って! 「好き」とか「ありがとう」と思ったら伝えたほうがいいんだなって、これも七瀬に教わったことです。思ってるだけで伝わることもあるけど、やっぱり口に出したほうが伝わるし、相手も嬉しいですよね。そしたら、もっと日本が恋であふれて、素敵になるのになーって思いました!
――もし上白石さんが七瀬の立場だったら、誰担になったと思いますか?
上白石:私ですか? 小石川担です! 小石川先生(山本耕史)カッコよくないですか? 酸いも甘いもすべてを知った大人っていう感じで。セリフもすごく素敵ですし。でも……はい……七瀬を演じている私としては、天堂担ですし……好きですよ! 実は最初のころ、ドSとかヤダなって思っていたんです。でも、ドSってただのラベルで、愛情表現の仕方のひとつなんだなって知ったので。そういうのがわかっちゃうと、いつも優しいよりも、たまに優しいっていうツンデレの強さも知りました。
「健さんの作ったキュンを視聴者の方に届ける邪魔をしたくない」
ーープロデューサーさんが上白石さんを起用した理由に「イヤミのなさ」だとおっしゃっていました。ドジっ子の愛されキャラを演じる上で、気をつけたことは?
上白石:本当に塩梅が難しかったところです。やろうと思えば、いくらでもできるんですが、そうすると「いや、こんな子いないでしょ」って観てくださっている方がシラケてしまったら台無しなので、漫画的なコミカルさを残しながら、成長の伸びしろを感じさせるにはどうしたらいいかをものすごく意識しました。特に序盤は失敗ばかりで、医療の現場なので笑えないものも多くて。これは、どう消化していけばいいのかと悩んでいたんですけど、みなさんにも意見を仰ぎつつ、そこは胸をお借りしてやろうとは思っていたんですが、やっぱり掴むまでは難しかったですね。
――具体的にここを意識したという点を聞かせてもらえませんか?
上白石:まずは声ですね。第1話のころとか「好きです!」「何でもやります!」みたいな、言葉よりも魂が先走っちゃってる感じでセリフを発していました。ちょっと忙しないトーンで、その音だけでも「大丈夫?」って周りが不安に思うような感じに。でも、徐々に愛を知って、ちゃんと自分の中にいろんなものが収まってきて、落ち着いた音程とか、息遣いなどで表現していきました。これも声優業をやらせていただいた経験が活かされていて。アテレコのときって「もう5歳上げていきましょう」とか「色を明るくしてください」とか、声色を探る時間があるんですよね。それはドラマでも同じことだなって思ったんです。どこまで伝わっていたかはわからないですが、声はすごく大事にしています。
――なるほど! 確かに、天堂先生や患者さんとの会話も落ち着きましたもんね。
上白石:ありがとうございます。それと七瀬は、やっぱりウブなので“慣れてない”っていうのがキーワードなのかなって。どのお芝居でもそうなんですが、何回もテイクを重ねるわけで、やっぱり最初の反応がリアルなんですよね。特に胸キュンシーンとかは、とにかく反射なんですよ。肩がピッてなったり、目の奥がパッと開いたり。そういうものを毎回鮮度を保つのが大事でしたね。だから、カットがかかったら毎回記憶を1回全部消すようにしてました。「何も覚えてませーん」みたいな! 胸キュンって基本突然くるものなので。“来る”ってわかってるような空気が出ちゃったら、それを見ている人の感覚とズレちゃうじゃないですか。健さんからのキュンが私をはさんで視聴者の方に届くわけなので。とにかく私は、その邪魔になりたくないと思って取り組みましたね。
――逆に、ホテルで寝落ちのシーンは?
上白石:もちろん、起きてました(笑)。でもそこはむしろピクッてなったらダメだって、反射が出ないようにしていました。意識を飛ばすのが、大変でした。
――ストレートにキュンが届くのは、そんな試みがあったからなんですね。視聴者の方の反応は届いていますか?
上白石:大学とか高校のときからの友達から、放送終了後に毎回LINEが届きます。でも、みんな取り乱してて(笑)。「あああああー!」とか「ぎゃーーー!」みたいなのばっかりですね。のっけからキスの嵐だった第7話の反響が特にすごくて。そういうリアルタイムな熱をダイレクトにもらえるのは、やっぱり連ドラならではだなって思いました。