佐藤健と上白石萌音の関係が逆転! 『恋つづ』がくれた「やけにやさしい世界」を堪能

 七瀬に固執した挙げ句、嘘で訴訟まで起こした恋敵の御曹司・上条(清原翔)に対しても、患者としてのスタンスを曲げなかった天堂だが、ひとりの男としても向き合えるようになったのも、七瀬からもらった変化だろう。やりたい仕事、周囲からの信頼、どんな邪魔が入ってても動じることのない余裕、そして全力の愛を向けてくれる恋人……上条にとって天堂はすべてを持っているように見えたが、それは七瀬と出会って変わった天堂だからだ。

 「みんなそうです。足りないものがあって、それでも必死に生きてる。足りないものを誰かと補い合って生きてるんです」と語る天堂の言葉からは、足りなかったものを気付かせてくれた七瀬への感謝がにじむ。〈独りじゃ何ひとつ気付けなかっただろう こんなに鮮やかな色彩に〉と歌うように。

 もしかしたら上条の劣等感の始まりは、天堂自身の輝きよりも七瀬の眩しいほどにピュアなエネルギーだったのかもしれない。七瀬をそばに置くことで、自分自身がそのエネルギーを手に入れたような気持ちになれると思ったのではないか。そのエネルギーの源が自分になったら、もっと自分を好きになれるような気持ちになったのではないか。

 相手の幸せを願うことで、自分のエネルギーを注げるのが恋。天堂を想うからこそ、離れるという決断をした七瀬。その七瀬を想うからこそ、ことを荒立てずに対応する天堂。そのふたりの姿を見て上条は、自分の想いが結局、自分自身の幸せにしか向いていなかったと気づく。それが、片想いなのだと。

 そして、故郷・鹿児島に雲隠れしていた七瀬を迎えに行く天堂。きっと視聴者は覚悟していたはずだ。電話の声がだんだんと近づき、きっと天堂が姿を現すはずだ、と。それでも、その登場の仕方がまさかバックハグとは。その「この流れはきっと……」と思わせて、別角度から攻められるのも、『恋つづ』にハマるポイント。

 顔を近づけた=キスと思いきや、結んでいた髪をほどく。その演出は、撮影時に佐藤健から発信されたアイデアだと明かされている。(ちなみに、衣装についても佐藤健の案が反映されているというから、改めて佐藤健恐ろしや! ※参照:https://mdpr.jp/fashion/1949073

 「絶対こうくる!」という少女漫画的展開にひとクセ加わるから、王道なのに新鮮。わかっていながら、悶えてしまう。『恋つづ』がくれたこの〈やけにやさしい世界〉も、残り2話。ラストまで、大いに翻弄されたい。

■放送情報
火曜ドラマ『恋はつづくよどこまでも』
TBS系にて、毎週火曜22:00~22:57放送
原作:円城寺マキ『恋はつづくよどこまでも』(小学館 プチコミックフラワーコミックスα刊)
出演:上白石萌音、佐藤健、毎熊克哉、昴生(ミキ)、渡邊圭祐、瀧内公美、吉川愛、堀田真由、香里奈、平岩紙、片瀬那奈、蓮佛美沙子、山本耕史
脚本:金子ありさ
演出:田中健太、福田亮介、金子文紀
チーフプロデューサー:磯山晶
編成・プロデューサー:宮崎真佐子
プロデューサー:松本明子
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS (c)円城寺マキ/小学館
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/koitsudu_tbs/
公式Twitter:@koi_tsudu
公式Instagram:koi_tsudu

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