喜美子、新たな挑戦の予感 『スカーレット』薪の釜製作には金銭的な問題が

『スカーレット』喜美子、新たな挑戦の予感

 かの高名な芸術家・ジョージ富士川(西川貴教)と、喜美子(戸田恵梨香)が再会。彼女にとっては大阪時代からの憧れの存在で、会うごとに、芸術家としての強いエネルギーを与えてくれる。

 連続テレビ小説『スカーレット』(NHK総合)第94話では、かわはら工房の電気釜が故障。焦りと緊張が走るなか、八郎(松下洸平)が新しい釜を買おうと提案した。

 喜美子が請け負っている、大量の小皿の作陶の期日が迫るなかでの電気釜の故障。観ていて思わず「勘弁してくれよ」と、喜美子らの心の声を代弁してしまうほどのタイミングの悪さである。しかし、持つべきは友。幼馴染みの照子(大島優子)の厚意で、丸熊陶業の窯で焼いてもらうことになった。しかも、わざわざ社長(本田大輔)が出向いてまで全力サポートの姿勢を見せる。数日前に起きた夫婦喧嘩に川原家を巻き込んだことへの後ろめたさもあるのだろうが、いずれにせよ誠実で、いい男だ。

 そんな流れで、なんとか喜美子の仕事の目処は立ったが、今後のことを考えれば、どっちみち新たな電気釜は必要である。そこで八郎が提案したのが、電気釜ではなく、“薪で焼く窯”の購入。しかし、聞くところによれば昔ながらの薪の釜は、電気釜以上に高く、いまや嗜好品となっているらしい。喜美子の宝物である信楽焼のカケラのような、独特の色合いを出すためには必須のようだが、その維持費が馬鹿にならないというのだ。

 喜美子は自身が信楽焼と出会うきっかけとなった慶乃川(村上ショージ)が薪の釜を持っていたことを知り、アポを取るが、そこに現れたのは彼の甥。慶乃川は去年亡くなったのだという。喜美子の頭の中に蘇る、彼の笑顔。その笑顔の裏には、相当な苦労があったのだろう。甥いわく薪の釜は、一度焼くごとに薪代が何十万もかかるらしい。そんな彼から喜美子は、慶乃川が薪の釜を維持するために書き残していた書類を手渡された。目を通してみるとそこにはなんと、“34万3000円”という数字が。しかもその下には「あかん」と記されている。これは非常に悩ましい問題だ。

 一方その頃、正式に結婚の挨拶をするタイミングを探る信作(林遣都)と百合子(福田麻由子)は、電話越しに互いの気持ちを確かめ合っていた。お互い口にする、「会いたい」の言葉……。これには朝からニヤニヤしてしまった方も多いことだろう。なんとも心がホクホクなるムード! がんばれ信作。二人に幸あれ!

■折田侑駿
1990年生まれ。文筆家。主な守備範囲は、映画、演劇、俳優、服飾、酒場など。最も好きな監督は増村保造。Twitter

■放送情報
NHK連続テレビ小説『スカーレット』
NHK総合にて、2019年9月30日(月)~2020年3月放送予定
出演:戸田恵梨香、北村一輝、富田靖子、桜庭ななみ、福田麻由子、佐藤隆太、大島優子、林遣都、財前直見、マギー
水野美紀、溝端淳平、木本武宏、羽野晶紀、三林京子、西川貴教、松下洸平、イッセー尾形 ほか
脚本:水橋文美江
制作統括:内田ゆき
プロデューサー:長谷知記
演出:中島由貴、佐藤譲
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/scarlet/

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