『アライブ』“医療ドラマ”としての丁寧な演出に反響 早くも明らかになった、松下奈緒と木村佳乃の因縁
さらには心の担当患者として冒頭から登場する高坂(高畑淳子)の、がん再発を告知されても気丈に振る舞っている診察の様子。「がんを治す」という一般的な医療ドラマのテーマはもちろんのこと、「がんと共生していく」患者の生き方そのものを描こうとしていることが明確に見受けられるわけだ。それは終盤の心のセリフでしっかりと明示される。「治る、治らないじゃないんです。患者さんの人生に寄り添うのが腫瘍内科医の仕事」。
ひとつだけ第1話で気になったことといえば、終盤に突如としてドラマの雰囲気が一変し、心とともに患者を救う消化器外科医の梶山薫(木村佳乃)が、心に近付くために患者会の案内を高坂に渡したり自転車のタイヤをパンクさせたりしていたことが明らかになるくだりと、彼女が心の夫の手術を執り行い失敗したことが明らかになる点だ。最近のドラマではひとつひとつのエピソードに加えて終盤の展開を左右する伏線を早い段階から張り巡らせることが常態化しているわけだが、些か性急な印象を受けなくもない。いずれにしても、心と薫、2人の関係性がこの物語の鍵となっていくことだろう。
■久保田和馬
1989年生まれ。映画ライター/評論・研究。好きな映画監督はアラン・レネ、ロベール・ブレッソンなど。Twitter
■放送情報
『アライブ がん専門医のカルテ』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:松下奈緒、木村佳乃、清原翔、岡崎紗絵、中村俊介、三浦翔平、田辺誠一、藤井隆、木下ほうか、高畑淳子、北大路欣也
脚本:倉光泰子
プロデュース:太田大、有賀聡
演出:髙野舞
音楽:眞鍋昭大
(c)フジテレビ