木村拓哉が『教場』の現場で引き出した生徒たちの本気 「彼らのハンパない熱量はこの作品に映っている」

木村拓哉が『教場』生徒の本気引き出す

“風間教場”のクラスメート30人、全員のギアが入った瞬間

――『教場』は警察学校という非常に厳しい世界が描かれた作品ですが、現場の雰囲気はいかがでしたか?

木村:現場はすごく生き生きしていましたよ。トーンとしては高くはないんですけど、熱量はすごく高かったです。

――生徒役のキャストのみなさんについて、印象的なエピソードはあれば教えてください。

木村:現場に入る前のことなんですけど、まだセットも何もないスタジオに集まり、そこでカメラの前に立つにあたっての“教場”がありました。生徒30人が制服に着替え、警察官を目指す者としての姿勢や敬礼の仕方などを教えていただいたのですが、そのときはまだ暑かったので、帽子をうちわ代わりに使っている子たちもいて。

――それを本当の警察学校でやったら、ものすごく怒られそうですね。

木村:でも、そりゃそうなんですよ。そのときは僕も含めてまだゼロの段階で、生徒たちも「これを着てください」と言われて制服を着たコスプレ状態だったので。でも、それを2、3回と重ねていくうちに、日下部役の三浦翔平が「一度、パーソナルな時間を作りませんか?」と言ってくれて。それでみんなで集まったときに、僕が「カメラの前に立つ状態が10だとしたら、今の自分たちはいくつの段階にあると思うか」と聞いたんですね。そうしたら、「2ですかね」と言う子もいれば、「2にもいってないと思います」と言う子もいたので、「今日中にそれを5まで上げようよ」という話をしました。

――そのときからすでに木村さんは風間教官だったんですね。

木村:いやいや、そのときは単なる木村でしかなかったです。ただ、生徒役のキャストたちがそうやって集まるのであれば、僕もそこに参加するべきだと思ったし、僕自身がまず風間公親として現場に入らないといけないとは思いました。

――その結果、生徒役のみなさんにも変化が?

木村:たぶん、みんながそれぞれにアンテナを張っていたと思いますが、何か言われなくても制帽であおぐ人間はいなくなったし、たとえ待ち時間であっても椅子の背もたれを使う人間もいなくなりました。全員が姿勢を正した状態でいて、それはそれで大変だったと思いますが、そこから全員のギアが入った感じがしました。

――そういう意味では、教官と生徒というドラマの関係性に近いものもあったのでは?

木村:それはどうかわかりませんが、個々の撮影が終わって「帰っていいよ」となっても、素直に「おつかれさまでした」と帰る人は誰もいなかったですね。そのうえ彼らが「ちょっとつき合ってもらってもいいですか?」と言うので、僕が号令をかけて生徒役のみんなで一連の動きをひたすら練習することもありました。それは工藤阿須加、大島優子、三浦翔平といった生徒役のメインキャストだけでなく、“風間教場”のクラスメート30人全員が言っていて、その彼らのハンパない熱量はこの作品に映っていると思います。

――では最後に、もし木村さんがドラマ『教場』で描かれる警察学校に生徒として入学したら、この厳しい世界に耐えられると思いますか?

木村:生徒として? それなら、耐える、耐えられない以前に、僕は入学しないかも(笑)。もちろん、実際に警察官になられている方々には敬意を表していますし、そこにたどり着くまでには大変な苦労があったと思います。でも、このドラマで描かれる警察学校は、風間の対応を含めて相当なものですからね(笑)。それでも入学するとしたら、相当な覚悟が必要だと思うし、それこそ腹をくくって挑むと思います。

(取材・文=馬場英美)

■番組情報
フジテレビ開局60周年特別企画『教場』
フジテレビ系にて2020年1月4日(土)、5日(日)21時から放送
出演:木村拓哉、工藤阿須加、川口春奈、林遣都、葵わかな、井之脇海、西畑大吾(なにわ男子/関西ジャニーズJr.)、富田望生、味方良介、村井良大、佐藤仁美、和田正人、石田明(NON STYLE)、高橋ひとみ、筧利夫、光石研(友情出演)、大島優子、三浦翔平、小日向文世 他
原作:長岡弘樹『教場』シリーズ(小学館)
脚本:君塚良一
演出:中江功
プロデュース:中江功、西坂瑞城、髙石明彦(The icon)
制作協力:The icon
制作著作:フジテレビ
(c)フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/kyojo/index.html

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