『ゆるキャン△』主演で話題の福原遥、主演と助演で大活躍した2019年を振り返る

 2019年もあとわずか。振り返ると今年もさまざまな若手俳優がブレイクのきっかけをつかみ飛躍していった。中でも、今年大きく知名度を高めた女優といえば福原遥だろう。ドラマでは『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)、『コーヒー&バニラ』(MBSほか)など5本に出演、映画は佐藤大樹(EXILE、FANTASTICS from EXILE TRIBE)とW主演を果たした『4月の君、スピカ。』にドラマ版(season2)から続投となった『映画 賭ケグルイ』、そして11月末には杉野遥亮とW主演を務めた映画『羊とオオカミの恋と殺人』が公開されたばかり。劇場版アニメ『HELLO WORLD』で声優にも挑戦した。カカクコムや第一三共ヘルスケアなどのCMでも引っ張りだこと、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いの活躍ぶりである。

 とはいえ、福原のブレイクはこれが初めてではない。子役としてデビュー後、NHK Eテレの子供向け料理番組『クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!』で柊まいん役に抜擢されると途端に大人気に。“まいんちゃん”の愛称で親しまれ、4年もの間、番組の顔を務めた実績がある。その後は雑誌『ピチレモン』に専属モデルとして参加しながら、2017年にはテレビアニメ『キラキラ☆プリキュアアラモード』のオーディションに勝ち抜き、メインキャラクターのひとり、有栖川ひまり/キュアカスタード役を射止め本格的に声優業にも進出。今年はソロ歌手デビューも果たすなど、弱冠21歳にして驚くほどの多才ぶりを発揮している。成長に伴い、コンスタントに話題を振りまいてきた彼女にとって、今回のブレイクは、いわば“女優・福原遥”に光が当たったものと言うことができるだろう。

『羊とオオカミの恋と殺人』(c)2019「羊とオオカミの恋と殺人」製作委員会 (c)裸村/講談社

 では、なぜこのタイミングで女優として福原に注目が集まったのか。それは、演じる役柄の振れ幅の広さにあるように思う。たとえば、『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』では恋愛体質ゆえに暴走する女子高生を熱演。『チート~詐欺師の皆さん、ご注意ください~』では、詐欺師をだまし返して摘発につなげる謎のスペシャリスト集団「チート」のメンバーで、17歳の天才ハッカー役を魅力的に演じた。加えて映画『羊とオオカミの恋と殺人』では、一見ごく普通の女の子ながら実は殺人鬼という二面性のある役柄にも挑戦。自身が「念願だった」と語る殺人鬼役を嬉々として演じ、新境地を拓いた。 “まいんちゃん”時代から培ったピュアで爽やかなイメージとは真逆をいく、ダークな役にも果敢に挑んだことが、福原の女優としての幅を拡げ、結果注目度のアップにつながったのは間違いない。

『映画 賭ケグルイ』(c)2019 河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・「映画 賭ケグルイ」製作委員会

 また、同じタイミングで主演と助演、どちらも経験することで、作品の中で自分を輝かせる演技を習得することができたのではないか。映画『4月の君、スピカ。』では運の悪さに悩む平凡なヒロインを演じたが、あえての抑え気味の演技はロマンチックな少女漫画的世界観を際立たせていたし、逆に、『賭ケグルイ』や『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』では、思いきった演技で大勢の中でキラリと光る個性を見せつけた。一度主演クラスに抜擢されるとなかなか助演に回る機会がないなか、彼女の場合は異例とも思える作品選びが功を奏し、上手にキャリアを伸ばしている形だ。

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