一世を風靡したグループから輝かしい転身 2019年版、 元アイドル女優の勢力図
AKB48を皮切りに、その派生グループから公式ライバル、他にも同じ事務所の若手女優たちで結成されたグループがあったり、テレビ番組の企画から誕生したり、地下アイドルであったりと、とにかく様々なアイドルグループが乱立した2010年代。一時は“アイドル戦国時代”とまで謳われたが、現在では少しその勢いもひと段落しただろうか。しかしそれに合わせて、近年ではそれぞれのグループで一時代を築き上げたフロントメンバーがグループを卒業し、女優業へと転身するケースが目立ち始めた。(メイン写真:サッポロビール「第96回箱根駅伝用オリジナルCM」に登場する西野七瀬)
必然的に、すでに女優業一本で歩んできた者や、モデル出身者など、様々なバックグラウンドを持つ者たちで群雄割拠となっている若手女優界に大きな風穴を開ける存在となっていることは言うまでもない。既存のネームバリューや大所帯のグループで磨き上げてきた存在感。これらが彼女たち“元アイドル女優”の最大の強みといえるだろう。今回は、2010年代に一世を風靡したグループから女優へと転身を遂げ、この2019年にひときわの輝きを放った若手女優をピックアップしてみたい。
国民的アイドルグループから“国民的女優”へ
まずは2年連続で日本レコード大賞に輝き、かつての“AKB48の公式ライバル”との位置づけから、すっかり逆転して“国民的アイドルグループ”としての地位を確立した乃木坂46から。同グループではここ3年ほどで、結成当初に加入した1期生の卒業が相次ぎ、世代交代の時期に差し掛かっていると見えるが、そうした中で一番の注目株はやはり、昨年末に卒業した西野七瀬で間違いない。2019年に本格的に女優として始動し、いきなり大きな飛躍を見せたわけだ。
4月から半年にわたり放送され、年末の「新語・流行語大賞」にノミネートされるほどの大反響を巻き起こした『あなたの番です』(日本テレビ系)で、(いまさらネタバレも何もないとは思うが念のため……)物語上の極めて重要なキャラクターである黒島沙和役を演じた西野。放送開始序盤から彼女が黒幕ではないかという様々な憶測が飛び交い、終盤にはその一挙手一動足に注目が注がれることとなった。その後も3年ぶりにアニメ声優に挑戦した『コルボッコロ』で主役を務めるなど、活躍の場を拡大。乃木坂46時代に出演した『あさひなぐ』や『初森ベマーズ』の頃より確実に演技の質もグレードアップしているだけに、来年もさらに進化していくに違いない。
そして2016年に卒業した深川麻衣は、現時点での乃木坂46卒業女優のトップを走り続ける存在と言っていいだろう。昨年公開された『パンとバスと2度目のハツコイ』につづいての今泉力哉監督作への出演となった『愛がなんだ』に、人気ドラマの続編『まだ結婚できない男』(カンテレ・フジテレビ系)など、ラブストーリーやコメディ要素が強い作品が続いているだけに、別路線の演技も見ておきたいところだ。また『潤一』(カンテレ)でイメージを覆す演技を披露した伊藤万理華、年明けから出演映画が立て続けに公開される若月佑美も注目しておきたいところだ。