林遣都は恋のキューピッド! 『スカーレット』信作が導く、2人の明るい未来

 八郎(松下洸平)に想いを伝え、優しく抱き寄せられた喜美子(戸田恵梨香)。しかし怒った常治(北村一輝)によって2人は引き離されてしまった。NHKの連続テレビ小説『スカーレット』が11週目を迎え、結婚を考える娘に複雑な感情を抱く父・常治の姿と腐れ縁の喜美子のために手引きする信作(林遣都)の計らいが描かれた。

 喜美子を家に連れ帰っても、怒りがおさまらない常治。「お見合い大作戦」に行くようけしかける常治だが、喜美子が「結婚、考えてます」「うちは、あの人と一緒になりたいです」と真剣に打ち明けた瞬間、態度が急変した。

 「結婚はせんでええ」「ずっと、お前、かわいらしい娘のまんま、ここにおったらええねん。なっ?」

 結婚が現実味を帯びた瞬間、ごねる常治が面白い。父親として複雑な心境を吐露するシーンには、娘を愛するがゆえ動揺してしまった思いが感じられる。まくし立てるように結婚の話題を口にしていた常治だが、喜美子の口から「結婚」と出るや否や、歯切れが悪くなる。マツ(富田靖子)の前で「分からん、でも自分でも分からへんねん。もうな、分かってんのはな、もう嫌やいうこっちゃ!」と本心を漏らす姿は格好がつかない。北村は常治の、見栄っ張りな部分も、酒癖が悪い部分も、人から慕われている姿もチャーミングに演じてきた。そして、今回の動揺する常治の姿もまた、微笑ましく感じられる姿だった。

 また、信作の手引きで、八郎の住まいを訪ねることになった喜美子。真面目な八郎は「嫁入り前に男の1人暮らしの部屋に上げるのはあかん」と声をあげるが、信作は八郎をなだめ、2人きりで話す機会を設けさせた。

 「おう喜美子、よかったな。俺もうれしいで」八郎と2人きりになった喜美子に信作がかけた言葉。信作にとって大切な友人2人が結ばれる瞬間に立ち会えたのは嬉しかったに違いない。信作の計らいは押しつけがましくも見えそうだが、そう感じなかったのは信作が喜びを分かち合うような笑顔を見せたからだろう。

 常治の反対により、喜美子と八郎の結婚はもう少し時間がかかりそうだが、2人の関係を喜ぶ信作の存在が、明るい未来を導いてくれそうだ。

■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『スカーレット』
NHK総合にて、2019年9月30日(月)〜2020年3月放送予定
出演:戸田恵梨香、北村一輝、溝端淳平、水野美紀、羽野晶紀、三林京子、オール阪神ほか
脚本:水橋文美江
制作統括:内田ゆき
プロデューサー:長谷知記
演出:中島由貴、佐藤譲
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/scarlet/

関連記事