『スカーレット』戸田恵梨香のストレス発散が面白い 台詞の繰り返しで生まれる楽しげなテンポ感

 荒木荘に来て1カ月、喜美子(戸田恵梨香)は女中としての仕事も板につき始めた。NHK連続テレビ小説『スカーレット』第17話では、喜美子が夜な夜な内職をすることになった。

 女中としての仕事にも慣れてきた喜美子は、空いた時間を使って荒木荘の下駄箱に名札をつけたり、鉛筆立てを作ったりと持ち前の創作の才能を発揮しつつある。だが、女中としてはまだまだのようで、まな板のお置き場や、豆の煮方など大久保さん(三林京子)に頼るばかり。働き始めて1カ月、卵から孵ったばかりの雛鳥が親鳥の後ろをついて回るような様子だ。

 そんな中、夜遅くちや子(水野美紀)が疲れた様子で帰宅する。昨日の放送の第16話でも、帰りは遅く、夕飯をお茶漬けで済ますような姿が映し出されていたが、どうやら働いている新聞社で先輩記者が辞め、その分の仕事がちや子に降りかかっているようだ。

 そんな忙しい様子のちや子を心配した喜美子は、鉛筆入れとともに最近できた歌える喫茶のコーヒー無料券をプレゼントする。喜美子は女中の仕事にやりがいを感じ、意欲を持って働いているようだ。

 そんな喜美子に、水をさす出来事が描かれる。「こんなもん作る暇あったら他にすることあるで」と、先輩女中の大久保さんが喜美子に言う。大久保さんが持ってきたのはダンボールいっぱいの破れたストッキング。「破れたとこ直し」と、空いた時間で内職するように指示する。

 「これ荒木荘の仕事ですか?」と喜美子。大久保は答えず話を進める。「これ荒木荘の仕事ですか?」と再度喜美子。「できるかできへんかどっちや」と詰められ、喜美子は承諾してしまう。昨日の放送でも、電話の受ける際の「荒木荘でございます」を延々と練習することになったが、喜美子と大久保さんの会話は、セリフを何度も繰り返し、漫才のような空気感を生むのが特徴だ。戸田恵梨香自身もセリフを繰り返すたびに違ったニュアンスをみせ、会話に楽しげなテンポ感が生まれているのだ。

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