ディーン・フジオカが語る、令和の『シャーロック』への挑戦 

 『モンテ・クリスト伯-華麗なる復讐-』、『レ・ミゼラブル 終わりなき旅路』と、古典文学の傑作をベースにしたフジテレビ系ドラマに連続して主演し、高い評価を得てきたディーン・フジオカ。今度は月9枠で、アーサー・コナン・ドイルが生んだ世界一有名なミステリー小説『シャーロック・ホームズ』を下敷きにした、“令和の東京”が舞台の『シャーロック』に挑む。

 今作では、フリーランスの犯罪捜査専門のコンサルタント“シャーロック”=誉獅子雄をディーンが、シャーロックのバディである医師・ワトソンに該当する若宮潤一を岩田剛典が演じて難事件に立ち向かっていく。

 脚本に『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』、『白い巨塔』の井上由美子、演出に『モンテ・クリスト伯−華麗なる復讐−』、『刑事ゆがみ』などの西谷弘らと、名作を手掛けてきたスタッフ陣の顔ぶれからも期待が高まる現代日本版『シャーロック』。主演を務めるディーンに、今作ならではの“シャーロック”像へのこだわりや、『モンテ・クリスト伯』に続いて組んだ西谷監督の演出などについて聞いた。

「オリジナリティが生まれてくる」

――世界一有名な探偵“シャーロック”の日本版です。いわゆる“シャーロック”のイメージと、今作だからこそのイメージの両方をミックスされているかと思います。

ディーン・フジオカ(以下、ディーン):“シャーロック”にはいろんなアイコニックなところがあります。着ているものや帽子、バイオリン、ボクシング、口調やしぐさなど。そうしたものをとても緻密に取捨選択しながら進めています。

――確かにバイオリンやボクシングなど、“シャーロック”は多才です。今回のドラマでもそういった部分は楽しめますか?

ディーン:今のところ殴り合いはしていませんが、ボクシングをやっている人だからこそのアクションの身のこなしといいますか、そうした動きはあります。バイオリンは誉獅子雄が頭の中で物事を整理するときの、象徴的な道具として使われています。めちゃめちゃ苦労しながら取り組んでいます(笑)。

――誉獅子雄ならではの部分はどういったところでしょうか。

ディーン:謎解きをするときに、非常に長いセリフを呼吸せずに1ブレスで説明していきます。ゼイゼイ言ってはダメですし、言い終わってまたすぐに次のセリフが来るので、大変ですが、そうしたせめぎ合いの中に、オリジナリティが生まれてくるのだろうと感じています。日本語だからこそのリズムや言い回しにも気を付けていますね。

――日本語だからこそ、ですか?

ディーン:主語と述語、文章を構成する単語などを、どう紡いでいくと思考の流れが一番スリリングに見えるか。それって言語によって違うと思うんです。日本語だとこれを省略すべきだとか、途中をすっ飛ばしても、最後にもう1度代名詞ではなく、名前を言うとか。そうした細かいセリフの微調整を全テイクでやっています。てにをはや、語尾、倒置法など、すべてに気を配っていますね。ラップ、もしくは日本の詩、童謡の気持ちよさといったものに似た、どこか音楽的な感じもあると思います。

――“シャーロック”のセリフ回しは、その作品の色を決めると思いますし、とても楽しみです。外見や風貌でこだわっているところも教えていただけますか。

ディーン:“シャーロック”というと、常にロングコートを着ているイメージだと思います。そうした部分を踏襲しつつ、獅子雄には、ちょっとレトロな和テイストがディティールに入っています。一瞬、手ぬぐいかなと思うような生地といいますか(笑)。それから、謎を解いていく過程で、いろいろな扉の鍵を開ける必要が出てくるのですが、ピッキング犯が使う針金みたいなものを指に巻いていて、それが指輪のように見えます。それを使って、どんなドアでも開けていく。その感じは、今回のオリジナルなんじゃないかと思います。

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