中務裕太×小森隼『HiGH&LOW THE WORST』対談 初演技の苦悩から川村壱馬の活躍まで語る
中務「本当に苦戦しました」
ーー特に思い入れの強いシーンはありますか?
中務:冒頭のアクションシーンですね。実は最初に上がってきた台本にはなかったんですが、HIROさんが僕ら2人の“登場感”がある絵が欲しいと提案してくださって、生まれたシーンです。僕と隼2人が起点ですし、作品の中でも肝になるアクションの始まりのシーンなので、特に気合いが入りました。まだ暑い時期の撮影でスーツだったので、すごく大変でしたけど。映像ではちょこっとしか使われていないんですが、2人でダッシュするシーンがあって……あれ、10回くらい走ったよね?
小森:自転車を追いかけるんで「全力で走ってください」って言われたね。僕が印象的だったのは、序盤に撮影した、村山と焼肉食べながら話すシーンですね。村山の存在は、もう 『HiGH&LOW THE MOVIE』(2016年)の頃から知っているわけじゃないですか? クランクインして現場にもまだ慣れていない状態なのに、作品の中の“大物”としゃべるシーンという緊張感もあって、その日の撮影は、ひどかったですね(笑)。監督さんに怒られ、脚本家さんに怒られ……何度もNGを出してどんどん“沼”にはまっていったので、すごく印象に残っています。たとえばレモンサワーのグラスをずっと持ちながらセリフをしゃべるんですけど、「普通グラス持ったまましゃべらないよね?」みたいなところから始まって、実際に飲むところでも「いやこのタイミングで飲まないでしょ?」と、本当に初歩的な部分でめちゃめちゃ怒られました。大事なシーンで、セリフも 多くて、僕のセリフがストーリーが動くきっかけになるシーンでもあったので、すごく緊張しちゃいましたね……。
ーーGENERATIONSでのダンスの経験が、アクションで活かされることは?
中務:ダンスとアクションは全然別モノなので、ホントに経験が1ミリも活きなかったです(笑)。僕らは動くと、ついリズムを取っちゃうんですよね。1回殴ったらリズムを取っちゃうから、アクション監督さんに「それはやったらダメ」と言われて「マジか......!」と (笑)。演技も含めて全部が初挑戦だったから、本当に苦戦しましたね。
小森:そうなんだよね。例えば、パンチからのパンチという動きがスムーズにいきすぎて て、振りみたいになっちゃうんです。だから「わざと遅らせて殴るようにしてください」って言われたんですけど、2人とも無意識で動いてしまったりとか。いろいろ勉強になりましたね。
中務:僕ら、もう知り合って何年になる?
小森:20年近くになるんじゃない?
中務:いまだにアツアツです(笑)。GENERATIONSのメンバーの中でも僕らは一緒にいる時間が長いほうなので、その意味ではやりやすかったですね。
小森:グループの活動の中でもプライベートでも一緒にいることが多くて、もともと兄弟っぽい感じだったから、そこからオロチ兄弟という設定も生まれたんじゃないかと思ってます。
ーー本作を通じて感じた、お互いの魅力や意外な一面はありますか?
中務:隼は普段からおしゃべりですし、明るいキャラの正也とあまり変わらない部分もあったんですよ。でも、普段は優しくて、人を殴ったりとか絶対しないんですよね。だからア クションシーンの正也は……ちょっと怖かったですね。隼の真の姿を見た感じがしました。 キレるとこうなるんだ、絶対怒らせたくない! みたいな(笑)。
小森:(笑)。裕太くんはやっぱり、人として大きいんだなと思いました。撮影の現場でも、一緒にいれば大丈夫っていう安心感があるんです。いい意味でおっとりしているというか、焦ったり緊張したりという負の感情を出さない人なんですよね。僕は逆に緊張しいで、気にしいなので、前日にセリフを覚えてきていても現場で一生懸命読んだり、細かいことが気になってしまうんです。だから、演技が上手くいかなかった日の帰り道に裕太くんにいろいろ弱音を吐いてみたり(笑)。その弱音も受け止めてくれる器の大きさが魅力なんだなって再確認しました。