『あなたの番です』最終回目前企画:奈緒の黒幕説を検証 尾野幹葉の不審すぎる挙動の数々を考える

 いよいよ9月8日に最終回が放送される日本テレビ系列日曜ドラマ『あなたの番です』。マンション内で繰り広げられる“交換殺人ゲーム”から端を発し、ゲームとは別のところで次々と起こる不審な死。ひとつ解き明かされればまた新たな謎が生まれるなど、どんでん返しの連続で視聴者を釘付けにし、一時はTwitterの世界トレンドNo.1を獲得するほどの話題沸騰ぶりを見せた。そんな本作を最大級にミステリアスな作品へと押し上げているキャラクターといえば、やはり主人公・翔太(田中圭)の隣人である尾野幹葉(奈緒)を置いて他にはいないだろう。

 改めて劇中での彼女の不審すぎる挙動の数々を振り返ってみれば、枚挙にいとまがない。第1話で翔太と菜奈(原田知世)が引越しの挨拶に来た時、つまりは彼女の初登場シーンで、玄関のチェーンを掛けたまま会話をし、2人が夫婦であるとわかった瞬間にチェーンを開けて部屋から飛び出し、翔太にだけ語りかける。その行動の真意はその後のエピソードや第9話放送後にHuluで配信されたサイドストーリー『扉の向こう』、そして先週放送された第19話を見れば明確に読み解くことができよう。

 「なぜだかいつも好きになる人に恋人がいる」。ドラマ前半では翔太に執拗に付きまとい、連日ウエハースやプロテインなど様々なものを贈っていた尾野。偶然にも男運がないというわけではなく、根っからの略奪気質であるということが、彼女の部屋のキャビネットの中に収められている大量の“記念品”からはっきりとわかる。第12話で翔太の留守中に部屋に忍び込み、菜奈の服のボタンを持ち出したことで、彼女の中では翔太の略奪を完了したというわけだ。しかし第14話から突然翔太への態度が冷たくなり、その“ターゲット”が沙和(西野七瀬)に想いを寄せる二階堂(横浜流星)へとシフトしていく。

 ホームから突き落とされ入院していた沙和の病室に足繁く通い、二階堂にウエハースを贈
るも断られ、その場で食す異様な行動。さらにはマンションの非常階段から沙和に向けてモニターを落として襲撃したり、真犯人が沙和だと吹き込みながら二階堂に睡眠薬を盛るなど、その行動は後半になってよりエスカレートしているようにも見える。“獲物”を手に入れたと判断したら途端に興味をなくし、次の“獲物”に標準を定める。極めて利己的な彼女の恋愛(と呼んでいいのかも怪しいところだが)に対するモチベーションが、殺人にまで漕ぎ着くのかどうか。そして彼女の言動の真偽こそが、本作の謎を解き明かす最大のカギとなっていることは言うまでもないだろう。

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