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「週末映画館でこれ観よう!」今週の編集部オススメ映画は『火口のふたり』

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 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は元「映画芸術」編集部の石井が『火口のふたり』をプッシュします。

『火口のふたり』

 本稿を書くにあたり、そもそも自分が「荒井晴彦」の名前を知ったのはいつだろう? と振り返る作業をしてたところ、封印していたイタイ思い出とセットでその名前を知ったことを思い出しました。

 今からおよそ15年前の高校生の頃、生まれて初めて交際したクラスメイトのIさん。お互いの部活が終わる時間を合わせ、学校から駅までの帰り路が、唯一2人きりで話をすることができた時間でした。しかし、いわゆる奥手であった当時の自分は、手を握ることにも躊躇し、男らしさがないところなどを怒られ、なんやかんのあった後に「私に頼るのは辞めた方がいいと思う」という痛烈な一言を浴び、その恋は終わったのでした。

 平気なフリをしつつも食欲がまったくなくなるようなショックを受け、憔悴仕切ったところに、映画通のラグビー部の友人・A君が映画という助け舟を出してくれました。A君の影響もあり、ゴダールやヒッチコックといった“名作”には触れ始めていましたが、過去の日本映画はほとんど観たことがありませんでした。当時、その友人がVHSで貸してくれたのが、澤井信一郎監督、そして荒井晴彦脚本による『Wの悲劇』。薬師丸ひろ子さん演じる若手女優・静香が、とある代償を支払い、スターへの階段を昇っていき……という物語ですが、静香に捨てられてしまう昭夫(世良公則)の姿に自分を重ね、映画のセリフひとつひとつがたまらなく突き刺さったのを覚えています。スケールの違いはあれど、「あれ、これと似たようなことを言われたような……」と。映画を作る人=監督程度の認識しかなかった当時の自分にとって、初めて「このセリフを書いている人はどんな人なんだろう」と思ったのが「脚本家・荒井晴彦」でした。

 以後、新作を追いかけ、手掛けていたロマンポルノを観るために、新橋ロマン劇場にも足を運びと、荒井晴彦の名前をきっかけに映画の沼へと誘われていきました。一貫して描かれているのは、男性の弱さと女性の強さ、嫉妬という感情を持つことの無様さ。ともすれば汚く醜く、別の角度から見れば極めて潔癖でもあり、そんな恋や愛が絡んだときの人間のリアルな内面を、荒井作品から教えてもらったように思います。

      

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