山口智子、唐突の別れ 『なつぞら』で全うした、岡田将生との“純粋な親子関係”

『なつぞら』山口智子、唐突の別れ

 それでも引かない咲太郎に続き、なつとその夫・一久(中川大志)までもが亜矢美への協力・援助を申し出るが、これにも彼女はやはり「ノー」だ。そんななつも気がつけば30歳。随分と大人になったものだと感慨深い気持ちになる間もなく、亜矢美の「この店をやれたのは、咲太郎となっちゃんがいたから」という発言に、しっとりとあたたかな空気が「風車」の店内には満ち、私たちの心にも沁み入ってくる。

 そうして、亜矢美は新宿の町を去っていった。もっと言えば、咲太郎にもなつにも何も告げずに、姿を消したのだ。カスミいわく、心から咲太郎の結婚を喜んでおり、光子に嫉妬したくなかったからだという。少々衝撃的な発言ではあるが、そういう想いを押し殺して、亜矢美は咲太郎の母親を演じ続けてきたのだ。彼女が何も告げずに去ったのは、“純粋な親子”でいたいからだったのである。唐突にやってきた、大切な人との別れ。だが、永遠に会えないというものではないはずだ。いつか笑顔で会える日を、ただただ願うばかりだ。

■折田侑駿
映画ライター。1990年生まれ。オムニバス長編映画『スクラップスクラッパー』などに役者として出演。最も好きな監督は、増村保造。Twitter

■放送情報
連続テレビ小説『なつぞら』
4月1日(月)〜全156回
作:大森寿美男
語り:内村光良
出演:広瀬すず、松嶋菜々子、藤木直人、岡田将生、小林隆、音尾琢真、北乃きい、清原翔、川島明、渡辺麻友、田村健太郎、平尾菜々花、貫地谷しほり、山口智子、草刈正雄 ほか
制作統括:磯智明、福岡利武
演出:木村隆文、田中正、渡辺哲也ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/natsuzora/

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