『なつぞら』貫地谷しほり演じる麻子の幸せを願う 女性たちの生き方が描かれた第16週
まるで『ヘンゼルとグレーテル』の舞台のような、木漏れ日の射す森の中で、麻子がなつたちに話す場面はアニメを実写化した風刺にも見えてくる。女性が幸せを仕事に見出すのか、結婚の先にある未来に見つけるのかは、それぞれの捉え方次第だ。それはいつの時代も変わることはない。なつの妹・千遥(清原果耶)が、置屋の娘として生きる選択をしたのも、ひとつの幸せの形である。アニメーターを辞めることを報告し、なつや坂場の才能を素直に認める麻子の顔にはあの頃の無愛想な表情はない。憧れの麻子から満面の笑みで“なっちゃん”と呼ばれ、歓喜するなつ。「また戻ってきたくなるような、羨ましくなるような、もっとすごい漫画映画をこれから作ってよね、なっちゃん」という言葉は、これが麻子にとって一旦の幕引きであることを期待したくなる要素だ。
演じる貫地谷しほりは、朝ドラ『ちりとてちん』(NHK総合/2007年~2008年)でヒロインを演じ、『なつぞら』脚本家の大森寿美男が手がける大河ドラマ『風林火山』(NHK総合/2007年)にも出演していた。公式サイトのインタビューの中で貫地谷は、「女としてだけでなく人としてすごくいい選択をして、今の流れを捨てて、違う道を模索するというのは本当にたくましいしカッコいい」と麻子が自分の今の年齢に重なる部分が多くある役柄と語っている。
なつを演じる広瀬すずとは、大の仲良しなようで、広瀬も『なつぞら』の公式Twitterのツイートを引用する形で、「すきすき」と反応している。広瀬と貫地谷の2ショットを目の当たりにすると、なおさら麻子のカムバックが待ち遠しくなってしまう。
第17週「なつよ、テレビ漫画の幕開けだ」で、東洋動画は本格的にテレビ漫画に進出。なつはテレビの世界に飛び込み、新たな表現の開発に取り組むこととなる。予告では、新たな現場に葛藤するなつと坂場、「おかえり」と爽やかに振り向く天陽(吉沢亮)の姿も。「さぁ、来やがれ!」とポーズを取るなつに、どのような困難が待ち受けているのか。
■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter
■放送情報
連続テレビ小説『なつぞら』
4月1日(月)〜全156回
作:大森寿美男
語り:内村光良
出演:広瀬すず、松嶋菜々子、藤木直人/岡田将生、吉沢亮/安田顕、音尾琢真/小林綾子、高畑淳子、草刈正雄ほか
制作統括:磯智明、福岡利武
演出:木村隆文、田中正、渡辺哲也ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/natsuzora/