『なつぞら』広瀬すず、清原果耶、大原櫻子ら表情で語る名演 次週はなつの恋路にも注目?
第14週では千遥ともう一人、初登場の人物がいる。それが、天陽(吉沢亮)の妻・靖枝(大原櫻子)。清原は表情によって、千遥の奥深い心情を伝えていたが、なつと靖枝が初めて対面する際の、広瀬すずと大原櫻子も決して負けていない。3年ぶりに天陽の家を訪れるなつは、いつものように自転車に乗り彼に向かって右手を振るが、そこには靖枝の姿が。「陽ちゃん」「やっちゃん」と呼び合う2人。なつは結婚式には参加できなかったが祝電もあげ、夫婦になったことは理解していた。しかし、その姿を見るのは初めて。視線が泳ぐのは、動揺のサインだ。
一方の靖枝も、なつがやってきたことに気付きながらも、畑仕事を続け、なつと天陽を2人にしている。幼なじみと天陽から聞かされていることから、後ろめたさが勝っているのだろうが、一瞬見せる靖枝の表情から複雑な心情が垣間見える。久しぶりに訪れたなつを、山田家はかつてのように蕎麦がきや牛乳で歓迎するが、なつはどこか萎縮してしまう。「お義父さん、したってそれも大事だから」とすっかり山田家に溶け込む靖枝を目の当たりにし、「もう寂しくないっしょ……牛も2頭に増えたし」と苦し紛れのなつのセリフ。場の空気を読んで一番に笑い出す靖枝は、心を推し量ることができる良妻だ。
天陽の絵を描くという夢が今も続いていること、その中で靖枝と出会い好きになったことを聞き、なつは山田家を後にする。天陽と靖枝に背中を向け、自転車を漕ぎだすその表情がすでに寂しげに曇っていることが、無理をしていたなつの心情が表れている。
第15週「なつよ、ワクワクが止まらない」では、北海道大学に通う夕見子(福地桃子)の帰省を経て、なつが初めて原画を務める漫画映画の制作がいよいよ動きだす。新人アニメーター・神地航也(染谷将太)を新キャストに迎え、坂場(中川大志)との恋の予感も。タイトルの“ワクワク”とは、仕事の面白さのほかに、坂場との恋路も意味しているのだろうか。
■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter
■放送情報
連続テレビ小説『なつぞら』
4月1日(月)〜全156回
作:大森寿美男
語り:内村光良
出演:広瀬すず、松嶋菜々子、藤木直人/岡田将生、吉沢亮/安田顕、音尾琢真/小林綾子、高畑淳子、草刈正雄ほか
制作統括:磯智明、福岡利武
演出:木村隆文、田中正、渡辺哲也ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/natsuzora/