世界最大級のアニメの祭典「アヌシー映画祭」、業界への影響力は? 日本アニメの評価を振り返る

 年々規模を拡大するMIFA(国際見本市)

 上述したが、アヌシーが他の国際アニメーションの追随を許さず、注目度が拡大し続けている大きな要因は、映画祭と併設して開催されるMIFA(国際見本市)の存在が大きい。MIFAは1985年から始まり、年々企業ブース数も来場者も右肩上がりで上昇し続けており、世界のアニメーション市場で最も重要なマーケットである。

 映画祭の真の価値は、マーケットの存在にあるという言う映画関係者は少なくないが、カンヌが世界最大の映画祭であり続けられるのも、カンヌ・フィルム・マーケットの存在が大きい。北米最大の映画祭、トロント国際映画祭はコンペティション部門がないにも関わらず、大きな注目を集めるのもやはりマーケットの存在ゆえに多くの映画関係者とメディアが集まるからだ。

 1985年にマーケットが開催された当初はフランス系の企業が大半を占めていたようだが、同年9月号のキネマ旬報によると、日本もナック社がブースを出していたそうだ。

 2017年にはMIFAには74カ国から、660社の出展があったそうだ。MIFAの来場者数も3000名を超えている(VIPO調べ:https://www.vipo.or.jp/u/ANNECY.pdf)。2018年には3800名が訪れ、今年はさらに会場規模を拡大したそうなので、4000名以上の来場があったのではないかと思われる(参照:http://animationbusiness.info/archives/7096)。ちなみに、カンヌのマーケットは、2015年度で120カ国からの参加、来場者1万1,554人だそうだが(JETRO調べ:https://www.jetro.go.jp/j-messe/w-info/0a8a44c5d3e12b9e.html)、アニメーションという一ジャンルに特化したマーケットでこれだけの大きな規模になったのは、やはりすごいことだろう。

 近年は、ディズニーやNetflixなどの米国大手企業もアヌシーを新企画発表の場として利用している。今年は日本アニメ特集の年ということもあって、日本企業も多数参加している。日本企業においても国内マーケットの減少を補う形で国際市場の重要性が高まっているが、今後MIFAはますます重要なマーケットとなっていくだろう。

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