山下智久×紐倉哲が生み出した“魅力的な笑顔の表現” 『インハンド』で周りを輝かせる「主役」に
そして、それを受けるのは、達者な演技が広く知られている濱田岳だ。絶妙な間のとり方は笑いを生み、距離感の変化が、二人の間で積み重ねられていく信頼感を物語っている。紐倉のドS攻撃に対する高家のまんざらでもなさそうな様子は、不思議と可愛く見える。もしかしたら、濱田岳史上最も可愛いんじゃないかと思えるほどに。
また、そんな二人を見守る菜々緒は、これまで数々のドラマで重用されてきた「悪女」キャラを封印、包容力や母性が漂う頼もしさを見せている。
本作を見て意外に思えたのは、これまで華やかさやオーラでどこにいても「主役」だった山下が、むしろ本作では周りを輝かせる働きをしていること。山下の抑えた演技との対比で、共演者たちが可愛く見えたり、優しく見えたり、より一層キャラクターが際立っているのだ。
そして、そうした対比として周りを引き立てる働きは、毎回登場する風間杜夫、観月ありさ、松下優也、清原翔、要潤、磯村勇斗など、バラエティに富んだゲストキャラとの並びにおいても感じられるものだった。
視聴率においては、これまで2桁を着実に稼いできた歴代の主演作に比べ、正直苦戦した感もある。しかし、本作で演じる紐倉は、間違いなく山下にとって新境地、もしかしたらこれまでで一番魅力的なキャラクターだったのではないかと思う。山下自身と紐倉というキャラクターが、相互に互いの力を借り合って、これまでにない魅力的なキャラが生まれた。
6月21日はいよいよ最終回。新境地の山下智久を見られる最後の時間をじっくり楽しみたい。
(文=南山ヒロミ)
■放送情報
金曜ドラマ『インハンド』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜22:54放送
出演:山下智久、濱田岳、菜々緒
原作:朱戸アオ『インハンド』(講談社『イブニング』連載中)
脚本:吉田康弘、田辺茂範、福田哲平
プロデューサー:浅野敦也(TBSスパークル)、佐藤敦司(TBSスパークル)
演出:平野俊一、岡本伸吾、青山貴洋
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/inhand/