広瀬すずが「奇跡なんてない」と吐き捨てる 『なつぞら』千遥の知られざる悲しみ

 「風車」に戻ってきても、なつの顔に笑顔は戻らない。「どこかで生きてるよ」と力強く励ます咲太郎に、なつは苛立ったような声で「そんな奇跡、信じろっていうの」と返した。「わたしはなーんも知らないまま、今まで生きてた。千遥の悲しみや絶望を知らないまま。幸せに。千遥を見捨てたのに」。茫然としたなつの表情に胸が苦しくなる。

 「お兄ちゃん、奇跡なんてないんだわ」と吐き捨てるように言うなつ。自分の部屋に戻ると、北海道の家族から手紙が届いていた。なつを思う富士子(松嶋菜々子)の優しい語りが、今のなつには刺すように痛い。

 「わたしはもう、そちらへは帰れない。千遥がどうしているのか、2人に何も話してやれない」。劇中、落ち込んだ様子のなつと咲太郎に語りかける父親(内村光良)の声が切なかった。

■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。

■放送情報
連続テレビ小説『なつぞら』
4月1日(月)〜全156回
作:大森寿美男
語り:内村光良
出演:広瀬すず、松嶋菜々子、藤木直人/岡田将生、吉沢亮/安田顕、音尾琢真/小林綾子、高畑淳子、草刈正雄ほか
制作統括:磯智明、福岡利武
演出:木村隆文、田中正、渡辺哲也ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/natsuzora/

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