山本美月が表現する、内に秘めた力強さ 『パーフェクトワールド』は新たな代表作に

 新章に突入する第6話から、つぐみの表情は一変していく。仕事を通じて再び向き合う樹とつぐみ。樹はつぐみに「自分の意見をしっかり持ってて堂々と前を向いている。強くなったな」と声をかける。放送前の舞台挨拶時点でのインタビュー(松坂桃李×山本美月『パーフェクトワールド』対談 「思い切って頼ることも時には必要」)で山本は意外と人間臭いつぐみに足りないものとして「自分に対する自信のなさ」と答えている。山本自身もネガティブだと言うが、樹との出会いを機に一つずつ生まれ変わっていくつぐみの姿は、『CanCam』卒業以降の彼女と重ね合わせもさせる。山本もインタビューの中で触れているが、『パーフェクトワールド』のつぐみは「ザ・ヒロイン」というイメージが先行してあるが、自分の意志を強く持った逞しい女性である。

 近作として『パーフェクトワールド』のほかに山本が出演しているのが、大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』(NHK総合)と映画『ザ・ファブル』(6月21日より全国公開)。『いだてん』で演じるのは、ストックホルムオリンピックが開催されていた当時、まだ珍しかった女性記者・本庄。金栗四三(中村勘九郎)、三島弥彦(生田斗真)を取材する男勝りな口調と華やかな出で立ちは、モデルとしてのキャリアを存分に活かした姿でもある。中でも本庄が活躍するのが、第14回「新世界」。三島や天狗倶楽部が半裸になる男臭い会場で、紅一点として役割を果たすのが本庄だ。『ザ・ファブル』においても、アウトローでクレイジーな面々が勢ぞろいしている作品において、ただ一人素直で優しいミサキを演じている。事件に巻き込まれるミサキをファブル(岡田准一)が助けるという、ヒロインに近い存在であり、彼との出会いを通して新たな一歩を踏み出す姿は、『パーフェクトワールド』に通ずる部分でもある。

 柔和な笑顔の奥に、女性としての力強さを兼ね備えた山本美月。『パーフェクトワールド』を経て、次作ではどんな表情を見せてくれるのだろうか。 

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
『パーフェクトワールド』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週火曜21:00〜放送
出演:松坂桃李、山本美月、瀬戸康史、中村ゆり、松村北斗(SixTONES/ジャニーズJr.)、岡崎紗絵、池岡亮介、木村祐一、水沢エレナ、堀内敬子、とよた真帆、麻生祐未、松重豊
原作:有賀リエ『パーフェクトワールド』(講談社『Kiss』連載)
脚本:中谷まゆみ
音楽:菅野祐悟
主題歌:菅田将暉「まちがいさがし」<作詞・作曲・プロデュース:米津玄師(EPICレコードジャパン)>
プロデューサー:河西秀幸
演出:三宅喜重 白木啓一郎
制作著作:カンテレ
(c)カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/perfectworld/
公式Twitter:https://twitter.com/perfectworldktv

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