中村倫也、『アラジン』吹き替え版でイケボ放つ 声でも魅了するその実力とは

 ディズニー・アニメーションの大人気作『アラジン』の実写版にて、主人公・アラジンの吹き替え声優を務めている中村倫也。これまで数多くの作品で、どんなタイプのキャラクターでもモノにし演じあげてきた彼だが、本作も例外ではなく、声の表現だけでそれを実現させている。

 そもそも彼が声優に挑戦するのは、これが初めてである。各方面からラブコールが鳴り止まない中村だが、本作のタイトルロールであるアラジン役は、オーディションにて射止めたようだ。多くの実力派(いったい誰が参加していたのか、実に気になるところ……)が参加する中、その声の表現力と歌唱力を高く買われたということらしい。

 アラジンといえば、世界中の人々から愛されるキャラクターである。筆者も幼少期の頃に、ビデオテープが擦り切れるほどにアニメ版を繰り返し再生していた記憶があるが、同じような経験をお持ちの方も多いだろう。だがその経験は、今回の実写版で私たちが中村に求めるハードルを、とうぜん高くしてしまう。とうの中村自身も、大きなプレッシャーを感じていたのではないだろうか。だが、さすがの中村。滑らかな声と力強い発語で、身軽なアラジンよろしく軽やかにハードルを越えているように思う。さらに優しく甘い歌声には、色気すらも感じられるのだ。

 ところで、中村を囲む面々も手強い布陣である。ヒロインのジャスミンに扮する木下晴香は、まだキャリア自体は豊富とは言えないものの、ミュージカルをはじめとする大きな舞台での経験や圧倒的な歌唱力を武器に、中村と二人三脚のかたちを取る。そして、宿敵・ジャファーを演じるのは、『映画 プリキュアスーパースターズ!』(2018)で悪役声優デビューを果たした北村一輝。さらに何より強力なのが、アニメ版からランプの魔人・ジーニー役を務めている山寺宏一だ。期待の新星、先輩俳優、声優界の大ベテラン……彼らのいずれもが、中村にとって頼もしい存在であり、また脅威でもあったのではないだろうか。

 だが劇中に物語として描かれているように、ときに対立し、ときに手と手を取り合って、声優である彼らが「吹き替え版」として新たな息吹をもたらしている印象である。中村自身、まったく新しく、そして“彼らしい”アラジン像をつくり上げたように感じた。おなじみのノリと音楽が、それらをより盛り上げ、より強固なものにしている。

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