「わたし、定時で帰ります。」はやっぱり難しい!? ビジネスウーマンに聞く、働く現場の実情

 このような声は不動産系ベンチャー企業で働く30代女性からも聞かれた。

「不動産ベンチャーだけに業績がインセンティブに直結しわかりやすく反映される。だからこそ残業代をアテにせずにインセンティブで稼ぎなさいって文化は根強いです。加えて、一人前になるまでは有休が取得しづらい、5日連続の計画年休制度についても成績が上がっていない人は取りづらい雰囲気はありますね」

 また、3人ともに声が上がっていたのが「サービス残業」についてだ。ドラマ内では会社に棲み付いていたエンジニア吾妻(柄本時生)が紹介されていた。あそこまでではなくとも、不動産会社勤務女性によると「出勤実績をつけずに休日にも働いている人は山ほどいる」とのこと。彼女しかり、WEB制作会社勤務女性しかり、タイムカードは実際の時間で切るものの、「●時以降は自己啓発の時間に使っていた」と記載する、「休憩時間を多くとったことにする」などの抜け道があるようで、会社側もそれを黙認しているように見受けられるそうだ。

 今回、ドラマ内よりもリアルの職場の方が進んでいる点として3人が口を揃えて挙げてくれたのは「ワーキングマザー」の働く環境についてだ。


 結衣の会社では賊ヶ岳(内田有紀)以前にワーママが働く前例がなく、ロールモデルが近くにいなかったことが復帰初期の悲劇を引き起こしていた。今や、このご時世、会社の規模感に問わず、産休・育休の整備、その後の復職については当たり前のように享受できる環境になってきているようだ。

 不動産ベンチャー勤務の彼女いわく「むしろ賊ヶ岳さんは、産休前と同じポジションにつけているのは恵まれているかもしれません。今やベンチャーだろうが中小企業だろうが、育休明けの復帰については寛容。とは言え、大手企業でもない限り少ないリソースで会社を回している分、復帰時の人員配置や会社の状況によっておそらく産休前と全く同じポジションでそのままキャリアを継続できる人は少ないと思う」とリアルな声を教えてくれた。

 最後に全員の総意として、「やはり結衣のように責任を果たした上で帰りたい時は帰るし、休みたい時に休んで、反対に残りたい時には残業し、休日でも働きたい時には働く」が実現できれば一番の理想形だということで全会一致した。年齢や社歴、ライフステージによって選択したい働き方や稼働時間は様々。それは決して業績の変動や建前としての制度、暗黙の了解ばかりが優先されているうちには、なかなか現場での実装は難しいと言えそうだ。

■楳田 佳香
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで2018年の劇場鑑賞映画本数は96本。Twitter:https://twitter.com/Tominokoji

■放送情報
火曜ドラマ『わたし、定時で帰ります。』
TBS系にて、毎週火曜22:00~放送
原作:朱野帰子『わたし、定時で帰ります。』シリーズ(新潮社刊)
出演:吉高由里子、向井理、中丸雄一、柄本時生、泉澤祐希、シシド・カフカ、内田有紀、ユースケ・サンタマリアほか
脚本:奥寺佐渡子、清水友佳子
演出:金子文紀、竹村謙太郎
プロデューサー:新井順子、八尾香澄
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/watatei/

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