吉高由里子と新垣結衣、現代人に寄り添えるのはどっち? 『わた定』と『けもなれ』の決定的な違い

 また、『けもなれ』と『わた定』の大きな違いは、かかわりの深い男性とのあり方にも見える。

 『けもなれ』では晶の恋人・京谷(田中圭)が、晶を支えるどころか、事情があるとはいえ、元カノと同居し続けることによって、晶を最も苦しめている存在となっていた。「別れれば良いのに」と何度も思った視聴者は多かったことだろう。

 一方、『わた定』の結衣には、プライベートを大切にしている恋人(中丸雄一)がいて、ワーカホリックであることから別れを決意した元婚約者(向井理)は同じ職場になり、窮地を救ってくれるなどの頼もしさを感じさせてくれる。

 『けもなれ』の晶の場合、八方美人で断れない性格の根本に「父は暴力をふるう人で、母はマルチ商法にハマって絶縁」という辛い生い立ちがある。そのため、視聴者は、苦しみながらも同じ場所で逡巡し続ける晶にイライラする部分もあったが、こうした事情が明らかになるにつれ、救われない思いで余計に気分が重くなった。

 一方、『わた定』の場合、結衣の父がワーカホリックであることが、恋人選びに明らかに影響していた。しかし、そうした経緯は、「企業戦士として働き詰めで、日曜日も家にいず、過労死寸前だった父のことを子どもたちが忘れないように」と、母がテレビの上に父の写真を飾る=遺影と勘違いされるという笑いをまじえて説明されていた。

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