『わたし、定時で帰ります。』ネット上で阿鼻叫喚の嵐! ドラマで描かれる“働き方”の変化

 火曜夜10時から放送されている『わたし、定時で帰ります。』(TBS系、以下『わた定』)が盛り上がりをみせている。本作はWEB制作会社を舞台にしたドラマだ。主人公は32歳の制作部ディレクター・東山結衣(吉高由里子)。彼女は、前の職場で過重労働が原因で意識不明の重体になった経験から、残業ゼロをモットーとしており、仕事を効率よく切り上げ、定時になると退社する。

『わたし、定時で帰ります。』(c)TBS

 劇中では毎回、労働観の違う社員たちの世代間の衝突が描かれるのだが、ハードな内容に第一話終了後、SNSでは阿鼻叫喚の嵐。放送前からタイトルに対して、「そんなの当たり前だろ」という意見や「ウチでは絶対ムリ」といった会社あるあるで盛り上がっていたが、柔らかいタイトルに反して、シリアスな問題作である。

 『わた定』を筆頭に、近年は、会社を舞台にしたドラマが、リアルで面白いものに再編成されつつある。

『わたし、定時で帰ります。』(c)TBS

 80年代はトレンディドラマを筆頭に、会社を舞台にしたドラマは多数作られていた。しかし、90年代以降は、バブル崩壊とグローバリズムの進行により、終身雇用、年功序列といった昭和の仕組みが崩壊し、雇用の流動化で非正規雇用の派遣社員が増えていく。 

 会社に対するイメージが年齢や立場によってバラバラになり、昭和のような同じ価値観を共有する人々が集う場所として描くことが次第に難しくなっていった。

 その結果、組織を描く作品は、『踊る大捜査線』(フジテレビ系)のような刑事ドラマや『コード・ブルー』(同)シリーズのような医療ドラマが中心となり、恋と仕事の場としての会社は、主流から外れていった。

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