『東京独身男子』ずっと見たかった高橋一生がここにいる 可愛すぎる“太郎ちゃん”に至るまで
さて、魅力的な男たちのせいでテレビをつけるのが楽しみで仕方がないのが、『きのう何食べた?』(テレビ東京)がある金曜夜だけでなく、土曜夜まで加わってしまった。現代における結婚事情というものを、女性視線ではなく男性視線で見ることの新鮮さはさることながら、なにより率直に思うのは、「私たちが最も見たかった彼ら」の姿を見せてくれそうだということだ。
『中学聖日記』(TBS系)の金子ありさが脚本を手がけ、『奪い愛、冬』(テレビ朝日系)の樹下直美、そして『昭和元禄落語心中』(NHK総合)で「色っぽい岡田将生」を見せてくれたタナダユキが、それぞれ演出を手がけた『東京独身男子』(テレビ朝日系)の1・2話。スタイリッシュかつ濃厚な演出で、色気の塊のような3人のやっかいな“AK男子”(あえて結婚しない男たち)の恋模様を描いた。
しかし、滝藤賢一は盲点だった。もちろん、『重版出来!』(TBS系)で最上もがに振り回される漫画家も、映画『愛の渦』のサラリーマンも、『探偵が早すぎる』(読売テレビ・日本テレビ系)の探偵も、その自由に弾む目やら仕草に今までも頻繁に撃ち落とされてきた。だが、初回のあのチーズとワインと松本若菜とのキスシーンの破壊力は、理解の範疇を超えていた。しかし、最年長の設定らしく、ロマンチックなムードは生々しい「介護」という言葉で打ち壊され、どうなってしまうのか。
続いて、桜井ユキと組んで濃厚すぎる色香を漂わせ、診察台とうがい用の水の零れる様でコミカルかつ衝撃的に性事情を曝け出してしまうに至った斎藤工。2話においてもイチイチ濃いリアクションで画面を埋め尽くしこちらを圧倒させたと思ったら、高橋一生となにやらわちゃわちゃとはしゃぎ始めたりして、完全にもう目が離せない。
そして何といっても、高橋一生である。なんであんなに可愛いのかわからない太郎ちゃんである。彼こそが我々がずっと見たかった高橋一生ではなかったか。空前の高橋一生フィーバーが起こってからというものーーつまりは映画『シン・ゴジラ』、『カルテット』(TBS系)、『おんな城主 直虎』(NHK総合)以降の彼が演じてきた役の数々はーーなにかしらの過去を抱えた王子様キャラという、「女性の理想を形にしました」とでも言いたげなキャラクターが心なしか多かったように思う。もちろん、このドラマもまた「女性の理想」の集合体であり、女性の多い製作陣の手の平の上を転がされているだけかもしれないが。