『集団左遷!!』福山雅治の“がんばり”は奇跡を起こすか? 2つの正義がぶつかりあう

『集団左遷!!』福山雅治は奇跡を起こすか?

 経営の合理化という銀行にとっての正義と、行員の人生という働く人にとっての正義が正面からぶつかり合うところが『集団左遷!!』の見どころだ。第2話では銀行側を代表する横山と片岡の直接対決が早くも訪れる。乗り合わせたエレベーターで横山が問いかける「どちらが正しいのか」という問題提起は、リストラの記憶も生々しい平成という時代に何度も繰り返されてきた普遍的なテーマだ。

 今作のキーワード「がんばる」。片岡に対する滝川の「また出たよ。がんばる」という揶揄や、息子・裕太(弦瀬聡一)の「がんばってるのに、さらにがんばれって言われるとキツいんだよね」というセリフは、"働く=がんばる"という価値観に一石を投じるもの。若い世代にとっては、そちらのほうがむしろ自然な感覚かもしれない。

 がんばったり、がんばっていいのか悩んだり、それでもやっぱりがんばってしまうのが片岡だ。二転三転しながらも、最終的に町田エネラルとメガソーラー事業のための巨額の融資契約を締結し、岩盤浴で知り合った三嶋和生(赤井英和)から給与振込の口座開設を取りつける。単身、客先に乗り込む支店長の圧倒的な仕事への情熱にほだされ、ひとつになりはじめる蒲田支店。そこに現れた横山……。

 第1話の最後に示唆されたスパイの存在が次第に現実味を帯びてきた。もちろん、このまま順調に融資目標を達成するとは考えにくい。「がんばるだけで押し切っちゃったよ、あの人」と滝川に言わせてしまう片岡は、働き方改革が叫ばれる現在では絶滅危惧種かもしれないが、その人並み外れた“がんばり”を見ているうち、懐疑的な視線を跳ね返して奇跡を起こすパワーがそこに宿ることを信じたくなる。見事契約を勝ち取って帰社する片岡と横溝が歌う「これでいいのだ」という歌詞はがんばっている1人ひとりへのエールでもあるのだ。

20190428-shudansasen-sub1
20190428-shudansasen-sub3
20190428-shudansasen-sub5
20190428-shudansasen-sub8
20190428-shudansasen-sub7
previous arrow
next arrow
20190428-shudansasen-sub1
20190428-shudansasen-sub3
20190428-shudansasen-sub5
20190428-shudansasen-sub8
20190428-shudansasen-sub7
previous arrow
next arrow

■石河コウヘイ
東京都出身のエンタメ系ライター。年間ドラマ視聴数は50作品以上。三度のメシとエンタメが好き。

■放送情報
日曜劇場『集団左遷!!』
TBS系にて、4月21日(日)スタート 毎週日曜21:00〜21:54放送
出演:福山雅治、香川照之、神木隆之介、中村アン、井之脇海、高橋和也、迫田孝也、増田修一朗、谷口翔太、橋本真実、市村正親、酒向芳、橋爪淳、津嘉山正種、尾美としのり、三上博史、八木亜希子、西田尚美、赤堀雅秋、パパイヤ鈴木
原作:江波戸哲夫『新装版銀行支店長』『集団左遷』(講談社文庫)
脚本:いずみ吉紘
プロデュース:飯田和孝、中前勇児
演出:平川雄一朗、田中健太
製作著作:TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/shudan-sasen/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる