現代に蘇った元祖スラッシャー・フィルム 『ハロウィン』は新旧ホラーファンを歓喜させる出来に
迷走に迷走を重ねていた『ハロウィン』シリーズが、ついに正統路線にカムバック! スラッシャーフィルムの基礎を作った作品にも関わらず、ジェイソン・ボーヒーズのようなカリスマ性やフレディ・クルーガーのようなギャグ路線への変更ができなく、微妙な立ち位置でフランチャイズを増やしていった『ハロウィン』ですが、『ハロウィンII』(1981)以降の出来事を完全になかったことにして再びスラッシャーフィルムの金字塔として返り咲きました。
しかも、なかったことにしつつ、『II』以降へのリスペクトは忘れずオマージュがてんこ盛り。ファンからは「勘弁してくれ」と言われているロブ・ゾンビ監督のリメイク版『ハロウィン』からも、その研ぎ澄まされた暴力描写をオマージュしています。ローリー・ストロードとも一応の決着をつけさせていますし、昔ながらのスラッシャーフィルム・クリシェも満載。パターン化されたスラッシャーフィルムやスプラッターフィルムを真っ向から否定するような「一捻りホラー」が多い今の世の中で、ど直球な展開を次から次へと繰り出してくれる『ハロウィン』はとても新しく感じましたよ!
では、私がべた褒めする『ハロウィン』(2018年)はどんなストーリーなのか、ざっと紹介していきましょう。
舞台はオリジナル『ハロウィン』の40年後。ルーミス医師に撃退されるも姿をくらましたマイケル・マイヤーズでしたが、何らかの方法で捉えられ施設で暮らしています。40年もの間沈黙を貫いてきたマイケルは、別の収容所に移送されることになりました。一方、前作の被害者でありファイナル・ガールだったローリー・ストロードは、再びマイケル・マイヤーズと対決する日が来ると信じて綿密に準備を進めてきました。そして、マイケルが移送途中で脱走したことで2人の最終決戦が幕をあけることとなったのです。
スラッシャーフィルムとしてのあるべき姿がここに
スラッシャーフィルムには、一定のルールが存在します。
1)サイコパス・キラーがナイフを使ってグループを殺しまくる
2)ファイナル・ガールが最後にキラーと対峙
3)キラーの方が人気が出る
また、被害者になりやすい特徴やクリシェも存在します。
1)セックスしていると殺される
2)誰かの所有物を触ったりしていると殺される
3)別行動すると殺される
このルールは1978年に公開したオリジナル『ハロウィン』が作ったと言われています。スラッシャーフィルムは、こういったルールやクリシェを理解した上でツッコミを入れたり、フラグが回収されていくのを楽しむものです。そして本作は、ツッコミに関してもフラグに関しても満足度高しだったんです。