『わたし、定時で帰ります。』インタビュー

内田有紀が明かす、人生の楽しみ方 「頑張ってる自分も、変な自分も、全部受け入れる」

「いっぱい考えて、わからなくなって、やっと少し見える、でいい」


――自分がどれだけやってきたかを手放すって、難しいですよね。頑張ってきたことこそ、固執してしまうというか。内田さんは何歳くらいから、そのような心境になれたんですか?

内田:30代の後半ぐらいからですかね。同じ失敗をしたくないから、転ばぬ先の何手先も考えて動いていたんですよ。その結果、自分にも周囲にも深く求めるようになっていたというか。そうなっていることに、ハッと我に返ったときがあって。そのこだわりは自分だけにしようって思ったんですよね。みんなそれぞれの歩くペースも、ルートも違うんだから、って。それからは「1回、深呼吸しよう」って自分に言い聞かせたり、「あれもこれもしなきゃ」ってなりやすい自分を少しほどいてあげられるようになりました。

――働き方を考えるって、毎日をどう生きるかに直結しますし、自分が心地よくいられる方法を模索する作業のようにも思います。

内田:はい。私も43歳になって、「こういう感じでいいのかな」って少しは思えるようになりましたが、それでもまだまだわからないことだらけで。わからなくなって、1回手放してみたものもあるし。またそれをもう1回拾い集めてみて、なぜ自分がこれがわからなかったのかって振り返ってみることもありましたし、いつまでも手放せなくて残ってる部分もあります。でも、それを人生の中で何が残り、何を手放してきたかなどの軌跡を楽しめたら、と思うようになりました。

――そうやって楽しめたら、素敵に年齢を重ねられそうですね。でも、なかなか難易度が高いです(笑)。

内田:いっぱいいっぱい考えて、いっぱいいっぱいわからなくなって、やっと少し見えるっていう繰り返しで(笑)。正解も、辞書もないなかで、人はただひたすら生きるだけなので。だったら、もう受け入れるしかないですよ。ちょっと頑張ってる自分も、変な自分も、全部受け入れる! だから、このドラマで結衣ちゃんに、ほどいてもらってほしいんですよね。みんなの気持ちが楽になって、楽しく働く人が増えていったらいいなって思います。

(取材・文=佐藤結衣)

■放送情報
TBS系火曜ドラマ『わたし、定時で帰ります。』
TBS系にて毎週(火)22:00~放送
原作:朱野帰子『わたし、定時で帰ります。』シリーズ(新潮社刊)
出演:吉高由里子、向井理、中丸雄一、柄本時生、泉澤祐希、シシド・カフカ、内田有紀、ユースケ・サンタマリアほか
脚本:奥寺佐渡子、清水友佳子
演出:金子文紀、竹村謙太郎
プロデューサー:新井順子、八尾香澄
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/watatei/

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