綾瀬はるか、『いだてん』で圧倒的な華に NHK×宮藤官九郎は“不思議”系女優を輝かせる?

 綾瀬に限らず、NHKと相性の良い女優・そうでない女優というのは、多少なりともいる気がする。

 例えば、一年間放送の朝ドラ『君の名は』でヒロイン・真知子を演じ、眩いばかりの美貌と「棒読み」の印象を強く与えた鈴木京香。彼女は、三谷幸喜脚本の『王様のレストラン』(フジテレビ系)において、元ホステスで「愛人顔」の三条を軽やかにコミカルに演じ、コメディエンヌとしての魅力を開花させる。その後、『恋人よ』(フジテレビ系)では結婚式前に夫を裏切り、かつての恋人と関係を持つ女性をなまめかしく演じ、『きらきらひかる』(フジテレビ系)ではクールで知的な助教授役を演じた。上品でお人形のようだった美人女優から、後に得意分野となる「色気」と「知性」を体温ある温度で民放ドラマが引き出したわけだ。そして、民放でブレイクした後にドラマ10の『セカンドバージン』や、朝ドラ『わろてんか』の厳しい義母役などでNHKドラマに出戻りを果たしている。

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 また、上野樹里の場合は、朝ドラ『てるてる家族』のヒロインの姉で、品行方正な理系女子役で人気を得た。しかし、『のだめカンタービレ』(フジテレビ系)の型破りで変態で天才な「のだめちゃん」で大ブレイクした印象が強すぎて、『ラスト・フレンズ』(フジテレビ系)では性同一性障害を抱える役を繊細に美しく演じたにもかかわらず、大河ドラマ『江~姫たちの戦国~』が「のだめにしか見えない」と言われて大惨敗してしまったケースもある。こちらは民放でのブレイクの影響を悪い意味で受けてしまったのだろう。

 また、多部未華子の場合は、玉の輿を狙って猛アタックをする女子を演じた『山田太郎ものがたり』(TBS系)や、鹿になってしまった主人公の秘密に深く関わる剣道部女子を演じた『鹿男あをによし』(フジテレビ系)、『デカワンコ』(日本テレビ系)など、サブカルテイストの作品とは実に相性が良い。にもかかわらず、朝ドラ『つばさ』で演じた「20歳のおかん」ヒロインは、不思議な劇団臭が強すぎてお茶の間で浮いてしまい、大惨敗してしまった。多部のカルチャー臭が吉と出るか凶と出るか、その調理方法の巧拙が分かれた印象だ。

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