『僕の初恋をキミに捧ぐ』なぜ映画からTVドラマへ? “少女漫画実写化ブーム”にも変化が

『僕キミ』から考える少女漫画実写化

 まず仮に『僕の初恋をキミに捧ぐ』が映画でのリメイクであったならば、一昨年末の『8年越しの花嫁 奇跡の実話』をきっかけに再燃しはじめている“難病もの”映画のブームに乗り、ふたたび橋渡し役になるという見方もできたのだが(もちろんメディアを跨いで映像業界全体の潮流に乗ったという部分もあるのだろうが)、今回は深夜帯の連続ドラマだ。過去に同じようなリメイク事例があったのかざっと調べてみると、「少女漫画原作」で「映画からテレビドラマ」に「どちらも国内制作」で「まったく別の座組み」で作られたと限定していくとかなり絞られる。

 すぐに浮かぶところでは昨年の1月クールにフジテレビ系列の月9枠で放送された『海月姫』だろう。2014年に能年玲奈(現:のん)主演、相手役には菅田将暉を配して映画化。ドラマ版ではNHKの朝ドラ『べっぴんさん』を終えてまもない芳根京子が主人公に、そして瀬戸康史が相手役を演じた。また、『ハチミツとクローバー』は、2006年に櫻井翔と蒼井優で映画化、2008年に生田斗真と成海璃子でドラマ化と、非常に映画化とドラマ化の間隔が短く、原作のパワーに乗じた感も強い。そして、実写映画化から約10年の間隔を経てテレビドラマ化という今回と同じような時間軸をたどった『花より男子』。

『海月姫』(c)フジテレビ

 いずれも連載中に映画化(厳密に言えば『ハチクロ』は映画公開のタイミングで完結したのだが)され、連載終了後に改めてドラマ化している。連載終了後の2009年に映画化、今年ドラマ化した『僕の初恋をキミに捧ぐ』が原作・映画・テレビドラマの関係性として少々異例なタイプだということがわかる。

 とはいえ、非常にわかりやすい例として(井上真央つながりもあるので)『花より男子』を比較対象としてみると、「映画」と「テレビドラマ」それぞれ違う形で作ることのメリットが顕著に見えてくるのではないだろうか。95年の内田有紀主演の映画版では物語の要素を活かしながらも設定を大幅に変更し、かつ映画の尺の中で完結する極めて端的なストーリーとして脚色が施されていた。その一方で、井上真央と松本潤の共演で社会現象を巻き起こし、続編や新たな映画版まで作られた2005年のテレビドラマ版は、ストーリーの奥行きやキャラクターの個性が倍増。そこにはやはり、2時間弱の映画と毎週1時間弱×3カ月の連続ドラマそれぞれが持つ情報量の大きな差が垣間見える。

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