年末企画:成馬零一の「2018年 年間ベストドラマTOP10」 WEBドラマの質と量が一気に底上げ

 5位の『おっさんずラブ』は、今年一番の話題作。プロデューサーの貴島彩理は若干28歳の新鋭で、『フェイクニュース』(NHK)の北野拓、や『カルテット』、『この世界の片隅に』(ともにTBS系)の佐野亜裕美など、近年、若いプロデューサーの活躍が増えているのは嬉しい限り。

 6位の『恋のツキ』はリアル。性欲の向こう側にある切実な恋愛感情が濡れ場を通して描かれていた。主演の徳永えりが体現するうじうじした振る舞いの中に見える色気が素晴らしい。

 7位の『トドメの接吻』は、タイムリープ+オラオラ系ホストの成り上がりモノというヘンテコなドラマだが、俳優の力もあってか、見応えのある作品に仕上がっていた。

 『今日から俺は!!』は、ドラマというよりはコントバラエティーの傑作という感じで、役者の活かし方が実に見事で清野菜名のアクションシーンが素晴らしかった。脚本・演出を担当する福田雄一は、かつては深夜ドラマを拠点にしていたが、地上波に行っても、終始一貫している。

 8位の『ハラスメントゲーム』はテレビ東京のドラマBizという新設枠で放送。タイトルのとおり、次々と新しいハラスメントが生まれてはゲームのカードのように繰り出される現代に対する困惑がコミカルに描かれている。

 10位の『結婚相手は抽選で』は、東海テレビの「大人の土ドラ枠」が生み出した怪作。SF的なアイデアで社会問題に切り込んでいくスタイルが定着すると嬉しい。

 WEBドラマが活性化したことで、作品内容だけでなく放送形態も多様化していると感じた一年だった。

【TOP10で取り上げた作品に関連するレビュー】
野木亜紀子が再び描いた“逃げる”ということ 『けもなれ』は作り手の本気度が伝わる作品に
福田雄一が引き継ぐコントバラエティの伝統 『今日から俺は!!』OPから作り込まれた世界観を読む
“おっさんの恋愛”はなぜこんなに切ない? フランクな作風が功を奏した『おっさんずラブ』

■成馬零一
76年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。

■配信情報
『放課後ソーダ日和』(全9話+番外編3話)
監督・脚本・編集:枝優花
出演:森田想、田中芽衣、蒼波純、福崎那由他、大坂美優、小林苑子、芹澤興人、保紫萌香(特別出演)、モトーラ世理奈(特別出演)
製作:AlphaBoat合同会社
制作:SPOTTED PRODUCTIONS
放課後ソーダ日和YouTube:https://youtu.be/t1UaPA17xLA

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