ドラマとしての中身を完全無視 『今日から俺は!!』原作でも人気高い“伝説回”を忠実に実写化

 今井(太賀)が理子(清野菜名)の下駄箱に入れた手紙を読んだ三橋(賀来賢人)は、呼び出し場所の公園に先回りし、落ちていたバットを拾い上げる。ところがそのすぐそばには死体が横たわっており、バットには血が。警察にも追われて窮地に追い込まれてしまった三橋だったが、実はすべて今井が仕組んだ罠だと知る。すっかり意気消沈した三橋は、復讐のために廃ビルの一室に今井を監禁するのだった。

 原作でも特に人気の高い“伝説回”として知られている14巻の「今井勝俊逆襲編」から15巻で4話にわたって展開する「三橋vs今井編」を映像化した、11月25日に放送された日本テレビ系列日曜ドラマ『今日から俺は!!』第7話。そもそも1クールを通貫させる本筋がないこのドラマにとって、今回のような原作の“重要エピソード”をどこまで拾い上げるのかが実写化の是非を問う重要なものとなるわけだ。

 数多ある重要エピソードの中でも今回描かれたものは、大きな場面の転換がなく、三橋と今井のやり取りだけで成立させるという、かなり難儀なもの。この実写化は、ある意味で大きな挑戦になったのではないだろうか。殺風景な廃ビルの隣合った部屋で閉じ込められる(三橋はフリをしているだけだが)2人の姿を窓外からや中央に壁を置いた状態で描き出すことで、その差異によって笑いを生み出す。もはや技巧的な秀逸さや演じる2人の演技の魅力が極まって、ドラマとしての中身を完全に無視した、とても贅沢な回だったのではないだろうか。

関連記事