高橋一生の発想が面白い 『僕らは奇跡でできている』ときに正しさよりも大切なもの
ここで面白いのが、一輝が「昔の人は、歯を虫が食べたと考えたから虫歯と呼ぶようになった」と、育実が言っていたのだというのだが、これを育実は、思いつきで、正しい答えではないと念を押している。彼女は歯科医である以上、歯のプロフェッショナルとして“正しさ”が求められる。ヘタなことは言えないのだろう。だが彼女のこの発想自体は面白いのではないか。
そこで一輝が自身の考えを述べる。虫歯のことを“ムシクイハ”と呼んだ場合、これを数字に置き換え足し算すると、人間の一般的な歯の本数である「28」という数字が現れるというものだ。それに対して育実が、親知らずの本数を含めていないことを指摘するあたり、やはり“正しさ”を求めている。しかし、子供たちの反応の大きさは明らかだ。彼らは正しさよりも、“正しくないかもしれない”が、発想の面白さの方を選んだのだ。
そんな一輝と育実は森へ行く。虹一は、残念ながら母がイベントに来れなかったために説得できなかったのだ。渋々フィールドワークの“助手”を引き受けた育実だが、なかなか一輝とのいいコンビ。そしてまたも一輝の、相手を傷つけないとも限らない奔放な発言が、育実に新たな気づきを与えていく。
ラストでは育実が涙を流し、一輝はそれを目撃。次週の第6話では、その涙の意を問うようだ。彼が積極的に他者と関わろうとしている証であるが、この後の進展が気になるところだ。
■折田侑駿
映画ライター。1990年生まれ。オムニバス長編映画『スクラップスクラッパー』などに役者として出演。最も好きな監督は、増村保造。
■放送情報
『僕らは奇跡でできている』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週火曜21:00~21:54放送
出演:高橋一生、榮倉奈々、要潤、児嶋一哉、西畑大吾(関西ジャニーズJr.)、矢作穂香、北香那、広田亮平、田中泯、トリンドル玲奈、阿南健治、戸田恵子、小林薫
脚本:橋部敦子
音楽:兼松衆、田渕夏海、中村巴奈重、櫻井美希
演出:河野圭太(共同テレビ)、星野和成(メディアミックス・ジャパン)、坂本栄隆
プロデューサー:豊福陽子(カンテレ) 、千葉行利(ケイファクトリー)、宮川晶(ケイファクトリー)
主題歌:SUPER BEAVER「予感」([NOiD] / murffin discs)
オープニング曲:Shiggy Jr.「ピュアなソルジャー」(ビクターエンタテインメント)
制作協力:ケイファクトリー
制作著作:カンテレ
(c)関西テレビ
公式サイト:https://www.ktv.jp/bokura/index.html