吉沢亮は徐々に自信をつけ、杉野遥亮はその逆をいく 『あのコの、トリコ。』2人の違った魅力

 徐々に自信をつけていく頼と、その逆をいく昴。違った強さと弱さを持つ2人をたっぷりと堪能できるのは、間違いなく映画の大きな醍醐味といえる。そして、どちらに転んでも超絶イケメンが待っているという、うらやましき雫を演じる新木もまた、至るところでかわいらしさが炸裂。笑顔がチャーミングな新木が扮するからこそ、「僕の全部は、あのコの笑顔のためだから」という頼の心の声にも納得するのみ。物語が男性(頼)目線で進むのも新鮮で、それにより喜怒哀楽がわかりやすい雫の愛らしさが、さらに引き立つのだろう。

 王道のラブコメだが、自分の思いにまっすぐに生きる頼の奮闘記という側面もある『あのコの、トリコ。』。頼を「がんばれ」と応援しながら、内気な彼が思わぬところで繰り出す男気ある行動やパワーワードに、心が持って行かれるというのも作品の魅力である。正直なところ、昴好きの筆者としては、もう少し昴の“チャラさと愛嬌”が伝わるエピソードを描いてほしかったという思いはあるが、得も言われぬ3人の関係性はすべて、エンドロールに凝縮されているとも思えた。ただの幼なじみではなく、同じ芸能界で夢を追う頼、雫、昴の関係性は物語の要。エンドロールの最後の最後まで、しっかりと見届けることをおすすめしたい。

■nakamura omame
ライター。制作会社、WEBサイト編集部、専業主婦を経てフリーライターに。5歳・7歳の息子を持つ2児の母。ママ向け&エンタメサイトを中心に執筆中。Twitter

■公開情報
『あのコの、トリコ。』
全国公開中
出演:吉沢亮、新木優子、杉野遥亮、水上剣星、大幡しえり、内田理央、古坂大魔王、高島礼子(友情出演)、岸谷五朗
原作:白石ユキ『あのコの、トリコ。』(小学館 Sho-Comi フラワーコミックス刊)
監督:宮脇亮
脚本:浅野妙子
配給:ショウゲート
(c)2018 白石ユキ・小学館/「あのコの、トリコ。」製作委員会
公式サイト:toriko-movie.jp

関連記事