惨憺たる上半期が遠い昔のよう 2018年下半期は“これぞホラー映画”な作品が目白押し
おいおい、これはどういうことだ!? なんで、こんなに面白いホラー映画が目白押しなのだ!? 『2018年上半期ホラーを憂う』で書いたとおり、惨憺たる惨状だった2018年上半期のホラー映画。もしや下期もこの状況が続くのでは?と不安になっていたが、それは杞憂だった。
まず既に公開された作品から見ていこう。
『死霊館のシスター』は、『死霊館』ユニバースのスピンオフとして製作された作品だ。正シリーズ2作『死霊館』、『死霊館 エンフィールド事件』は真っ当なオカルト映画で、生真面目なジェームズ・ワン監督らしい質実剛健な作風であった。
しかし、ワンが製作に回り、『ザ・ハロウ/侵蝕』で見事な伝奇ホラーを描いた新鋭コリン・ハーディが監督した、この『死霊館のシスター』は違う。バチカンから派遣された神父と新米尼僧の2人組が“ミラクルハンター”として、悪魔と物理的に格闘を行うアクションホラーなのだ。地味でジメジメと湿った恐怖を表現してきた『死霊館』ユニバースが、ここに来て悪魔の尼僧を相手にワイヤーアクションまで活用した格闘シーンやショットガンをぶっ放すシーンが拝めるとは思わなんだ!
完全にフィクションであるため、実録路線だった正シリーズファンからはあまり評判がよろしくない様子。しかし、夜霧に紛れて佇む尼僧、必要以上に破壊された死体、仕掛け満載の古城など、在りし日のハマー・フィルムを彷彿とさせる外連味の効いた演出は、まさにホラー映画と言ったところだ。