『絶対零度』『グッド・ドクター』『dele』などから探る、連続ドラマを彩るゲスト出演者の役割
豪華コラボの楽しみ
一方で、メインキャストとしてよく抜擢される役者、ないしは人気急上昇中の役者がゲストとして出演するパターンもある。例えば、『dele』には柴咲コウ、橋本愛、余貴美子、麿赤兒らが、『絶対零度』には、佐野岳や白石麻衣らがそれぞれ出演して話題となった。最近の作品で言えば、『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)などもそうであるが、こうしたパターンの場合、普段は共演することのない役者同士が語らい合ったり、対決したり、協力し合ったり、相談に乗ったりすることに魅力の一つがあると言えるだろう。もちろん、共演経験のある役者同士の場合もあるが、その時々で仲間同士だったり、敵対関係だったりして、様々な人間関係を観ることができる。
歴史的に見れば『古畑任三郎』(フジテレビ系)などはその最たる例であろう。田村正和演じる名刑事が、いわゆる“豪華”な面々と毎回対決するのは、どこか貫禄のようなものを感じさせる。意外な共演が多く観られ、また民放の連続ドラマにはあまり出演しないような人々の登場を楽しめるということもあり、何かと話題にもなりやすい。
意外な出演者
「えっ、何でこの人が?」と視聴者を驚かせるパターンもある。今クールでは、『dele』に作家の高橋源一郎が登場した(最近では『カルテット』(TBS系)にも突然出演)。意外な人選は、時にこうして大きな印象を残す。例えば過去には、『古畑任三郎』のスペシャルに、メジャーリーガーのイチローが出演し、『ガリレオ』(フジテレビ系)に久米宏が登場したりと、あまり役者の仕事を行わない人々のキャスティングはこうして時折あるのだ。しかもこうしたキャストは、エキストラ的出演では決してなく、作中でかなり重要な役柄を演じるだけに、なおさら惹きつけられるものである。
出演する役者陣が比較的固定された作品も、もちろん楽しみ方があるわけであるが、毎回のいろいろなゲストに注目できるドラマもこうして楽しめる点があって大変興味深い。次のクールの連ドラも少しずつ発表されてきたわけであるが、どんなゲスト演出があるのかに注目するのもいいだろう。
(文=國重駿平)