目が離せない最終回に? 『チア☆ダン』土屋太鳳、怪我が原因で石井杏奈ら“Rockets”と衝突

 とはいえ、全力で練習のサポートに励むわかばに、なぜ汐里は「来なくていいよ」と突き放すのかという前半の疑問を、順を追って回収して行くプロットは実に丁寧な印象だ。太郎(オダギリジョー)のアドバイスを受けて部活を休むことにしたわかばが、有紀(八木莉可子)や春馬(清水尋也)と“普通の高校生”らしい放課後や休日を過ごす中で、忘れかけていた「自分にとって本当に楽しいことは何か?」ということを気付かされていくのだ。

 前述した“リーダーとしての言葉”のように、チームを背負ったことで封じ込めてしまっていた、個人としての想いを取り戻したわかば。仲間たちがわかばに冷たい言葉をかけたのも、誰よりも踊ることを求め誰よりも悔しい思いをしてきたわかばを奮起させるための作戦であったわけだ。そしてチームに戻る決心をしたわかばの前で、全員がアカペラで歌いながら披露する「できっこないを やらなくちゃ」は、本ドラマを象徴する名シーンとなったといえるだろう。

 ところで、先週登場しなかった太郎の存在の大きさも忘れてはいけない。わかばのピンチに「本当はどうしたい?」と訊ね、「何もせんと、休んだらいい。寝てたらいい」とアドバイス。第5話で解決して以降触れられることがなかった、太郎の過去。前任の学校で生徒との関係に悩み、心の病を抱え復職したばかりだということを、このやり取りで思い出すことができる。自分が一度パンクしてしまった太郎は、わかばが様々なものを抱え込んでいることを、きちんと見抜いていたのだろう。まさかこのタイミングで、この設定が活かされることになるとは。

 そして太郎も退院し、いよいよ迎える全国大会。「打倒JETS」というひとつ目の“できっこない”に挑戦する権利を得た彼女たちが、どのようなパフォーマンスを見せてくれるのか。そして、もうひとつの“できっこない”にたどり着くことができるのだろうか。最終回はエピローグの最後の最後まで目が離せない回となりそうだ。

■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■放送情報
『チア☆ダン』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜放送
出演:土屋太鳳、石井杏奈、佐久間由衣、山本舞香、朝比奈彩、大友花恋、箭内夢菜、志田彩良、オダギリジョー、佐生雪、溝口恵、福地桃子、堀田真由、伊原六花、足立佳奈、石崎なつみ、坂ノ上茜、守屋ことり、八木莉可子、阿川佐和子、木下ほうか、高橋和也、紺野まひる、松本若菜、本多力、森矢カンナ、木原勝利、広瀬すず、新木優子
原作:映画『チア☆ダン』製作委員会
脚本:後藤法子、徳尾浩司
プロデューサー:韓哲
協力プロデューサー:高山暢比古
演出:福田亮介、金子文紀
製作著作:TBS
(c)TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/cheerdan_tbs/

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