綾瀬はるか×上白石萌歌の土下座が美しい 『義母と娘のブルース』に見る親子の姿

「まあ、ふたりは親子ってことじゃないっすかね」

 またもや美しいW土下座が見られるとは――。『義母と娘のブルース』(TBS系)第7話では、母親として奮闘する亜希子(綾瀬はるか)と、その愛に応えたいと悩む娘のみゆき(上白石萌歌)が、すれ違った想いを謝罪し合った。それは、第5話で見せた亜希子と良一(竹野内豊)の夫婦愛に満ちた土下座シーンを思い出させるものだった。

 「血がつながっていようがいまいが、これはどんな親子にも起こり得ることなんだ、と」。親は子にとって良くも悪くもお手本だ。バリバリのキャリアウーマンだった亜希子の完璧なビジネスマナーや、人としてのまっすぐさを見習い、みゆきはすくすくと育った。周囲を和ませる明るくて朗らかな性格も、良一から受け継いだもの。だが一方で「こうなりたい」という野心や、「そのために何をしたらいいのか」という戦略的な部分は不得意だった。

 亜希子が再就職したことによって、自分にはない才能に気づかされたみゆき。思考能力の高さ、手際の良さ、周囲を巻き込むパワフルさ。はじめはそんな亜希子に刺激を受けて、受験勉強に勤しむが、模試の結果は伸び悩む。亜希子の『ベーカリー麦田』再建計画は、すぐに1日の目標売上金額をクリアしたというのに……。亜希子は“仕事をする尊さを教えたい”と一層仕事に打ち込むが、みゆきはそんな親の背中を見て、次第に“期待に応えられていないのではないか”、“もし、亜希子の本当の娘だったらもっと出来がよかったんじゃないか”と、劣等感を募らせていく。

 「バカでごめん。たったひとりの娘が、私みたいなのでホントごめん」。膨らんだ劣等感を亜希子にぶちまけたみゆき。優れたお手本を前にすると、理想が高くなっていく。だが、その理想に追いつけないのは、お手本ではなく自分自身の問題だ。劣等コンプレックスは、ある意味で厳しい現実から自分を守る術でもある。なぜうまくいかないのかを考えると、人は自分ではどうしようもないことを理由にしたくなる。「だから、うまくいかないのか」と安心したくなるのだ。みゆきの場合、どこかで「本当の娘じゃない」という環境のせいにすることで、亜希子のようにいかない自分を納得させようとしていたのかもしれない。

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