間宮祥太朗の決断がもたらした苦すぎる結末 『半分、青い。』鈴愛が“死”を要求した背景を探る

 「死んでくれ、涼ちゃん。」

 8月に入って一発目の『半分、青い。』(NHK総合)の衝撃的展開は、全国の視聴者に動揺をもたらした。涼次(間宮祥太朗)が抱える夢への憧憬と、鈴愛(永野芽郁)が訴える家族の理想の衝突がかくも残酷な運命をもたらすとは予想だにしなかったであろう。いわゆるダメンズとして描かれた涼次であったが、鈴愛の叱咤激励を受けて、二人三脚の夫婦生活を進めてきたように思われた。それが、一体なぜここにきて2人に亀裂をもたらしたのだろうか。ここで、涼次が本格的に映画の道を志し、それを諦め(たかのように見え)、そして今回また映画の世界に心を奪われるまでの流れを、鈴愛という存在を交えながらレビューしていこう。

 これまで涼次が映画の道で右往左往するときには、常に鈴愛の存在、あるいは言葉が多分に影響をもたらしていた。1度目は、そもそもシナリオを執筆しようとしないところを、鈴愛の「支えたい!」という思いに感激して映画監督の道を歩む決意を固くする。2度目は、『名前のない鳥』を書き上げたものの、元住吉(斎藤工)の手に渡ってしまい、怠惰な生活を続けるところを、鈴愛の妊娠がきっかけで、今度は逆に映画から“足を洗い”、家族を支えていくことを決意する。

 これら2回の涼次の転機に共通していることは、先述の通り、いずれも鈴愛が大きく関わっているということだ。読書感想文すらまともに最後まで書き上げられなかった涼次は、鈴愛と出会うまでの人生では幾度となく三日坊主ぶりを見せてきたという。では、一体鈴愛の存在の何が、彼を奮い立たせる原動力になりえたのか。その答えを、涼次の生い立ちと性格を交えながら紐解いてみる。

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