新メンバーがアベンジャーズの追い風に 『インフィニティ・ウォー』ヒーローたちの強烈なエピソード
そんな本作だが、スパイダーマンだけでなく、MCU第14弾『ドクター・ストレンジ』(2016)の顔である、ドクター・ストレンジ/スティーヴン・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)や、第18弾『ブラックパンサー』(2018)の顔、ブラックパンサー/ティ・チャラ(チャドウィック・ボーズマン)らも存分に力を振るう。前者は知的でクールなキャラクター性で新しいユーモアを生み出し、後者は自身が抱える大勢の戦士たちを率いて戦乱に突入することで、一大スペクタクルを展開させる。彼らもまた「アベンジャーズ」の大きな戦力として、本作の追い風となるのだ。
そして本作では何といっても、「アベンジャーズ」が『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズ(2014/2017)の面々と合流を果たす。クリス・プラット演じるスター・ロード/ピーター・クイルの相変わらずな歯切れの良いワルノリに、ブラッドリー・クーパーとヴィン・ディーゼルがそれぞれ声をあてた、陽気なアライグマのロケットにふてぶてしくも愛らしいグルート。彼ら各々が個性を活かした、「アベンジャーズ」との共闘ぶりには胸が熱くなること必至である。
たしかにこれだけのヒーローが揃いも揃ってしまえば、“ヒーローデフレ気味”と言えなくもない。実際、単体で主演を張っているキャラクターや、より強力な力を持っている者に注目が集まってしまうのは仕方がないことだろう。しかしながら、この作品に対してヒーローたちが飽和状態に陥ることがないのは、サノス側が巻き起こし、ヒーローたちが悪戦苦闘を強いられるエピソードが、それだけ強烈だということにほかならない。サノスの願望は全宇宙の生命を半分にすることであるが、これに打ち勝つためには、一人ひとりがかけがえのない存在として個性を発揮しつつ、力を合わせて闘うしかないのだ。彼ら一人ひとりの存在のかけがえのなさは、サノスの超大さと天秤にかけられている。
早くも公開3週目に突入する『アベンジャーズ』。まだまだこの熱気は高まり続けそうだ。
■折田侑駿
映画ライター。1990年生まれ。オムニバス長編映画『スクラップスクラッパー』などに役者として出演。最も好きな監督は、増村保造。
■公開情報
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』
全国公開中
監督:アンソニー・ルッソ&ジョー・ルッソ
製作:ケヴィン・ファイギ
出演:ロバート・ダウニーJr.、クリス・ヘムズワース、マーク・ラファロ、クリス・エヴァンス、スカーレット・ヨハンソン、ベネディクト・カンバーバッチ、ドン・チードル、トム・ホランド、チャドウィック・ボーズマン、クリス・プラット
原題:Avengers: Infinity War/全米公開:4月27日
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(c)2018MARVEL
公式サイト:https://marvel.disney.co.jp/movie/avengers-iw/home.html