大野拓朗の不可解な言動にモヤモヤ? 『正義のセ』吉高由里子との別れを考える

 「凜々子の気持ちがよくわかったから」という優希の言葉を聞いて、凜々子が家族に話していた「人の気持ちは証明できないでしょ?」を思い出す。本当の気持ちは本人以外の誰にもわからない。だから優希も凜々子の本心がわかるはずがない。そして、凜々子もまた優希の言葉が本当なのかウソなのかを知ることはできない。だが、きっと彼は「凜々子のせいじゃないよ」と言っていたように、あくまで自分の中で凜々子との関係性に終止符が打たれたから、別れを決意したのだろう。そのきっかけの一つに、凜々子が自分より仕事を優先するというものがあったにすぎないのではないだろうか。

 凜々子が横浜地検で働く前、大阪に赴任していた1年間、ほとんど会えない状況でも優希は凜々子を応援し続けていた。そして、優希曰く浮気もしていない。それは優希だけでなく凜々子も同じだ。お互いがお互いの夢を理解し、信頼しあってたからこそ、遠距離の期間も含めて4年間も付き合っていた。しかし、人の気持ちはいつどんなきっかけで変わるかわからない。

 思い返せば第1話冒頭から、凜々子は優希とのデートをすっぽかし、第2話でもデートの途中で仕事に走って行ってしまった。その度に優希は笑顔で「大丈夫!」と言っていたが、その言葉はウソだったのかもしれない。優希はただ凜々子と一緒にいられる時間を増やしたかった。だから凜々子が横浜に赴任すると知ったときには、これからはたくさん会えると期待したことだろう。だがその期待が何度も裏切られ、我慢ばかりが蓄積されていった。そして少しずつ凜々子とのボタンが掛け違いになっていき、今回の出来事でついに修復が効かないところまできてしまったのだろう。優希はもう凜々子との未来を一緒に夢見られなくなってしまったのだ。

 だが、プロポーズした直後に別れを告げるという優希の不可解な言動には、やはりモヤモヤが残る。

(文=戸塚安友奈)

■放送情報
『正義のセ』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00~
出演:吉高由里子、安田顕、三浦翔平、広瀬アリス、平埜生成、夙川アトム、大野拓朗、塚地武雅、宮崎美子、寺脇康文、生瀬勝久
脚本:松田裕子、松本美弥子、梅田みか
原作:阿川佐和子「正義のセ」シリーズ(角川文庫)
音楽:得田真裕
演出:南雲聖一、明石広人、岩崎マリエ
制作協力:AXON
制作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/seigi-no-se/

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